第1章 *幽かに、愛*
目を覚ましたら、
俺の視界にすぐ写りこんだのは
クラスメイトである「高田佳奈」だった。
そして、目を覚ました俺の周りに広がった世界は、何かがおかしくて、
というか確実におかしくて。
なんで、俺は、
……宙に浮いてる?
なんで、もう1人の俺は、
白い顔して、眠ってる……?
そして、1番気になること。
佳奈、……
オマエはなんで。
なんで、泣いてる?
・
俺の体はどうなってるのか、
地面に着地することもできた。
佳奈の隣に寄り添うことも、できた。
・
「佳奈、……?」
・
だけど、声をかけてみても佳奈は振り向くことはなくて
顔を覆った手の指の隙間からは
ポタポタと涙が溢れている。
・
「二宮くっ……」
・
佳奈が涙を流しながら、俺の名前を呼んでる。
佳奈、俺はここだよ! ここにいる!!
……なんで、気付かない?
窓から入ってきた風が、佳奈のセーラー服のスカートを揺らす。
目に見えない風でさえ、佳奈に触れられるのに
どうして俺は触れられない?
てか、なんで
なんで貫通しちゃう!? 俺の手!!
佳奈の肩に置こうとした俺の手は、触れることさえできなかった。
・
「高田……っ」
・
病室、と思われるところに駆け込んできたのは、
同じ高校の1つ上の先輩である翔さん。
この人は、カッコイイ。
汗をかいていても、カッコイイ。
むしろ汗をかいて、カッコよさ倍増。
・
「二宮はっ……」
・
翔さんが質問をする前に、佳奈は首を横に振った。
翔さんは、「まじか…」って掠れた声で呟いて
フラフラと、もう1人の俺が寝るベッドまで歩いて、柵にもたれた。
・
・
ねぇ、翔さん……、
俺、死んだの?