第1章 *幽かに、愛*
佳奈に告白した翔さんは、見事OKを貰って。
スキップするように帰っていった。
その様子を見た俺は、
最高潮に機嫌が悪い。
は!? オマエは、俺が好きなんでしょ!?
いっつも、二宮くんが好き好き好きって顔してたじゃん、オマエ!!
伝わらないのは分かっているけど、
どうしても許せなかった。
俺が生きてたら、今頃無理やり襲ってるぞ!?
そんな下世話なことを考えてしまうぐらいに。
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はぁ。 幽霊って案外疲れんだな。
幽霊でも、ため息は出る。
死にたくもなる。(もう死んでるけど)
そんな俺のため息が、
また別の霊を呼び出したのか
・
・
「そんなにため息ついてると魂出てきちゃいますよぅ?」
・
・
いや、もう死んでるわ!!って、ツッコミ待ちをしているのか。
胡散臭い笑顔を浮かべた男が、突然現れた。
……あれ? コイツ、俺のこと見えるの?
幽霊になって、話しかけられたのは初めてだ。
・
「アンタ、誰だよ」
「そんなに不審がらなくても。 怪しいもんじゃありません」
「十分怪しいわ!! ……てか、なんで見えんの、俺のこと」
「え?」
「ほら……その、俺……もう生きてないっつーか、死んでるっつーか。 ……その、ゆう……」
「知ってますよ。 アナタが幽霊だってことぐらい」
「なんで……」
「少しロマンチックに魔法使い、とでも言っておきましょうか」
・
やっぱりコイツ胡散臭い。
ニヤニヤ笑う男を、俺は睨む他なかった。
・
「そんな怖い顔しないでくださいよ」
「なんなのアンタ」
「だから魔法使いだと、……」
「あぁもういいよ!! ロマンチックさとか俺、別に求めてないから!!」
「あぁそうですか。 ……せっかくもう一度、彼女と会うことを叶えてあげようと思ったのに」
・
男のその言葉に、俺は帰ろうとしていた足を止める。
男の口は、端だけ緩やかにカーブを描いていた。
・
「……どういうこと?」
「やっと興味を引かれたようですねぇ」
「焦らすなよ!!」
「まぁまぁ、そんな焦らないで」
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・
私ね、アナタを実体にすることができるんですよ。
ただし、日付けが変わる0時までですが。
・
本当にシンデレラの話に出てくる魔法使いみたいなことを、男は、笑顔で言ってみせた。