第1章 一人の夜
は、あん…才蔵さん、才蔵さん、いい…。
もっと、もっと、ああん。
才蔵さんのことを思い出して小さく呟く。
小さく声に出す事で、なんだかいけない事をしているようで、ますます興奮する自分がいた。
ますますヌルヌルとした液が溢れてくる。
それをすくい取り突起に塗りつけ、さらに指でこする。
突起だけでなくそこから少し下がったヒダの方も愛液を塗りつけ、指の腹を使い今度は少し強めに大きく円を描くように刺激する。
突起よりも刺激が強いほうが快感を得やすい。
指が止まらない。
ああ、いい…。
もっと、もっと、才蔵さん、もっと…。
居もしない人の名を呼ぶ。
呼ぶことで、すぐ隣にいるような、この指が才蔵さんの指のような気がしてくる。
ああん、気持ちいい…。
才蔵さんにしてもらってるみたい…。
自然と両足に力が入る。
足をピンと突っ張ることでさらに快感が増す。
はあ、はあ、はあ…。
少し大きな声を出す。
でも隣の部屋の人には聞こえない程度に。
でも自分にははっきりと聞こえる。
耳からの刺激も自分の興奮を高めるのに一役かっている。
私は最後の瞬間に向けさらに指を動かす。
肉襞を刺激したり、突起に刺激を戻したり。
愛液はどんど溢れてくる。
ぺちゃぺちゃと自分にも聞こえるような音がする。
あ、あ、イク、イク…。
クチュクチュ、ぺちゃぺちゃ…。
あっ、才蔵さん、才蔵さん…、ダメ、ダメェ…。
私はイッてしまった。
目を閉じたまま、体をのけぞらせ、ビクビクと小刻みに震える。
イッた後もしばらくは指を動かす。
ああん、才蔵さん、いやっ、感じる。
いや、やめないで、才蔵さん…。
本人には恥ずかしくて言ったことのない言葉だ。
本人がいないから大胆に言える。
体全体がかなり敏感になっている。
もちろんあそこも刺激に敏感になっている。
少し触れるだけでまた快感が訪れる。
私はしばらくの間、肩で息をしながら指を小さく動かし続けた。
さっきよりも小さく指を動かすだけで気持ちよくなれる。
私は心地よい脱力感と少しの虚しさを感じていた。
「ねえ、呼んだ?」
暗闇の中から急に声をかけられギョッとする。
「え?!」
「お前さん、何してんのさ」