第1章 一人の夜
いつだったか私の胸のことを一度だけ「綺麗だ」って言ってくれたこともあったよな。
いつもはそんなこと口にする人じゃないのに。
いつも優しく触れてくださる…。
すらりと伸びたきれいな指で私の胸や太ももやお尻やあそこや…。
才蔵さんに触れられるとそこが熱を帯びてくる。
そして柔らかな快感に導かれる。
私はそんなことを思い出しているとつい自分の手で自分の胸をさわりたくなってきた。
才蔵さんのことを思いながら自分の胸を触るって?
今まではそんなことをしたいなんて思ったことはなかった。
ほぼ毎晩才蔵さんと褥を共にするうちに、ひとり寝の寂しさに耐えきれなくなってきてるのだろうか。
そして、寂しすぎて思考がおかしくなってるのかな…でも…。
才蔵さんの温もりが懐かしい。
そう思いながら目を閉じ才蔵さんのことを思い浮かべる。
才蔵さんに口づけされたり胸に触れられたりしている光景を思い浮かべながら思わずそっと乳房に触れる。
あ…才蔵さん…。ダメ…。
私は仰向けになり、才蔵さんの指遣いを思い出しながら触ってみる。
うん、まずは両方の手のひらで包み込むように乳房全体を優しく…。
私は着物の上からやわやわと指を動かした。
手のひらでゆっくりと円を描くように、撫でさするように、そして少し乳房を揉むように…。
そんなことをしているうちに、ますますおかしな気分になってくる。