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【恋の乱】才蔵さんがいない夜【裏 R18】

第1章 一人の夜


「明日からひと月くらい里の命で行ってくるから。」
そう才蔵さんが褥の中でポツリと言った。
いつも突然に告げられる。
昨日までは普通に過ごしていたのに。

私たちはほぼ毎日同じ部屋で寝るような関係になっていた。
肌を合わせる日もあれば、添い寝だけの日もある。
その日はいつもより長く愛されたような気がしていた。

ことが終わり、後ろから抱きかかえられるような体勢で耳元で才蔵さんがポツリと呟いたのだ。
「はい…」
「寂しい?」
「寂しいです…。お気をつけて。
無事で帰ってきてくださいね。」
「うん…」
そういうと才蔵さんは私の上に覆いかぶさるように体勢を変え、両手で頬を包んで優しく口づけを落とした。
でも、まだ今回は教えてくれただけいいのだ。
全くそんなそぶりも見せず、何も言わず、次の日からいなくなる、ということも多いから。
そんな感じの後に帰ってきた才蔵さんはしばらくとっつきにくいこともある。

朝起きると褥の中に才蔵さんはもういなかった。
里の命に行く時はいつもこうなんだよなあ…。

そんな日からすでにひと月が過ぎていた。
この間は特に戦もなく、幸村様や家臣の方達は日々鍛錬を続けていた。

私はいつ才蔵さんが帰ってきてもいいように、
いろいろなお団子を日替わりで作ってみなさんに振舞っていた。

「あやね、才蔵は今回任務が長引いてるみたいだな。」
幸村様が声をかけてくださる。
「はい」

私は寂しさを隠すように精一杯の笑顔を作り答える。

「俺のとこにも何も連絡ないんだよな。
まあ、何か連絡があったら教えるから。」

「ありがとうございます」
「まあ、俺たちは毎日いろんな味の団子が食べられて嬉しいんだけどな!
あいつがいると分けてくれねえもんな。」

幸村様はいつも明るく気遣ってくれる。
その優しさが嬉しい反面、寂しさが募る。

才蔵さん、早く帰ってこないかな。
ほぼ毎日褥を共にしていたので、お昼間はともかく夜が特に寂しく切なく感じられる。

そんな日がまたしばらく続いた。

その夜も才蔵さんの温もりを懐かしく思ってしまい眠れなくなっていた。

もう2ヶ月近くになっている。
才蔵さんは大丈夫かな。
お怪我とかされてなければいいけど。

最後の夜にとても長く丹念に愛された日のことを思い返していた。
そうすると体が火照る感じがしてますます眠れない。
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