第1章 ひとつ×××
色街に頻繁にしけこむ白澤をよそに、2人は同じ街内にある野干カフェでお茶を楽しんでいた。
白澤は自由に女遊びをすればいいとは思わないが、目が届く範囲での火遊びで済むのなら…と目をつぶっているのが現状である。
昔はもっと派手に遊んでいて、ネムを好きだと気付いてからは相手の居る娘と、生娘には手を出さないようになったらしい。
理由は単純で、ネムは後始末の出来ない男は好きじゃないような事を言ったからだそうな。
鬼灯は巨大なパフェをつつき、クチに運ぶ。
冷たくて甘い、白玉パフェのモチモチでシャリシャリな食感を口内で存分に堪能しているのだろう。普段と比べると、口数はさほど多くない。
ネムも同じものを注文してはいるが、レディースサイズなる、小さなお椀程度のサイズだ。
甘味好きであれば、腹が膨れるほど堪能したいと思うのかもしれないが、ネムはどちらかと言うとビターチョコ派なので、美味しい抹茶との食べ合わせを味わっていた。
やや苦味のある抹茶、薫り高く、良い茶葉を使用していることが伺えた。
白玉パフェのあずきの甘さに舌をトロけさせ、抹茶の苦味でそれを整える。
ひんやりとした白玉パフェのシャリシャリ食感を楽しみ、ほんのり暖かい猫舌にも優しい適温の抹茶でほっと一息をつく。至福極まれり。
スプーンを口へと軽快な一定のリズムで運び、この素晴らしい味に頬を緩める。
「鬼灯は真面目で一途な方だから、きっと一緒になる女性は一心に愛情を受けて幸福に浸れるんでしょうね。ふふ、楽しみ。」
付き合いも古い為、ネムは鬼灯を呼び捨てにしており、兄弟姉妹のように親しみを強く感じていた。
「ええ。ですのでネムが私の伴侶になってくださるなら精一杯努めさせてもらいますよ」
「冗談ばっかり。私なんてあのマシンガン男の相方になって日も経ちましたし、欲しがる男はまずないでしょう。でも、そう言ってくれるから鬼灯に甘えてしまうんですよねえ…、いつもありがとうございます」
「いえ、本心ですよ」