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君のためなら。

第3章 誘拐



カーテンからうっすらと太陽の明かりが部屋の中に侵入してくる、その光が南雲を夢の中から連れ出す。

「ん…ッ、んー……?」

ゆっくり目を開ければ五時十五分を指す枕元の時計を見て、枕に顔を埋めた。
行きたくない、そんなことを考えながら五分ほどそのままで動かなかった。

「朝練……見なくちゃいけないんだよな……」

マネージャーの仕事は、バスケットボール部の教育・サポート。簡単に言えば、それしか南雲の仕事はないのだ。
なので、朝練を見てからカフェで業務をこなし、四時にカフェを出て学校に向かいマネージャーとしての仕事をする。
それが南雲の一日の流れだった。

「あー…ねっむい……」

寝癖でボサボサの髪を掻きながら洗面所に向かい、顔を洗って髪を整えリビングに戻る。
スクランブルエッグと軽いサラダ、コンソメスープを作ってさっさと食べ終える。

「ご馳走様」

食器を片付け部屋に戻れば、服を着替えて準備を終えるとすぐに家を出て学校に向かう。

「にしても、六時から練習って、早くないか?」

欠伸をしながら一人でブツブツと独り言を言って歩いていると、寝ぼけていたせいか電信柱に見事に衝突する。

「いったぁ!?」

額を抑えてその場に蹲る、周りの人の視線が痛い。

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