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【テニプリ】桜の木の下で

第8章 【オオカミ少女と不二王子】




外はすっかり暗くなっていて、中庭の街灯がステージ上をうっすらと照らす。


僕の腕の中で小さく震える彼女は、必死に涙をこらえながら、ごめんなさいとつぶやいた・・・


彼女はずっと悩んでいたのだろう・・・
シンデレラに自分を重ねて・・・
僕がしっかりしていなかったばっかりに・・・


まだ・・・間に合うだろうか・・・
僕がその不安を取り除いてあげれないだろうか・・・
一緒にいるのが怖いと泣く彼女を、一緒にいる事で幸せにしてあげれないだろうか・・・


彼女がシンデレラと自分を重ねて不安になるというのなら、僕は王子と自分を重ねて彼女を安心させてあげたい・・・


「璃音、それは違うよ。」


僕の言葉に彼女は俯いていた顔を上げる。


「王子はすべてをかけて、シンデレラを守った。もし、シンデレラが身分の差を気にして嘆くようなら、地位も名誉も・・・そのすべてを捨てたはずだよ・・・」
「・・・そう・・・かな・・・?」


僕は彼女を抱き寄せ、そっと髪を撫でる。
少しでも彼女を安心させてあげれるように・・・


「うん、大切なシンデレラのためになら・・・彼女の笑顔を守る為なら・・・どんな犠牲もかまわない。」


彼女の瞳に僕が映る・・・
僕の瞳にも君が映っている・・・
小さい頃からずっと僕の瞳には君しか映っていない・・・
そして君の瞳に映るのも僕だけ・・・


「僕も・・・僕のすべてをかけて君を守るよ・・・僕の持っている何かで、君が不安になるというのなら、今すぐにそのすべて捨てる・・・」


彼女を抱きしめる腕に力を込めて僕はつぶやく。


僕を信じて欲しい―――

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