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【テニプリ】桜の木の下で

第8章 【オオカミ少女と不二王子】




「あっ・・・」
「シンデレラの舞踏会の曲だね・・・」


クスッ・・・乾のやつ、さすがだね・・・
図ったようなタイミングでこの曲をかけてくる。
こちらの行動はすべてお見通しってことかな・・・?


「姫・・・お手をどうぞ?」


僕はシンデレラの劇のように彼女に手を差し出した。
彼女はちょっとためらってから僕の手をとった。


静かな中庭に聞こえてくるのはワルツの音楽と曲に重なる2人の鼓動。
そしてそれにあわせて踏み出されるステップ。


「・・・璃音。」
「・・・え・・・?」


沈黙を破って彼女に声をかける。
初めて呼び捨てにしたからだろうか、彼女がちょっとビックリしている。


「不二くん、・・・どうしたの・・・?」
「周ちゃん、でいいじゃない。どうして変えたの?」
「え・・・っと・・・」
「クスッ・・・周助、でもいいよ?」
「えぇ!!」


真っ赤な顔をして慌てている彼女。
僕はステップをとめてポケットからピンクの花を取り出すと、彼女の髪にそっと飾る・・・


「しゅ・・・うちゃん、こ・・れ・・・?」
「僕の気持ち・・・受け取ってくれないかな?」


彼女を真っ直ぐに見つる。
秋風がステージ上を駆け抜け幕を揺らす。


好きだよ、璃音・・・


そして僕はそう囁いた―――

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