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【テニプリ】桜の木の下で

第8章 【オオカミ少女と不二王子】




そんな彼女たちに、美沙ちゃんがちょっと!と文句を言いそうになる。
私は彼女の手をつかみ、大丈夫だから、とそれを止める。


学園祭までクラス一丸になって頑張らなきゃならない今、できれば私のことでもめてほしくない。
そんな私の気持ちを察してくれて、彼女はふーっとため息をついて自分を抑えてくれた。


「璃音、気にすることないよ?」
「・・・ん、別に平気だよ?」
「だいたいさ、わざと聞こえるように言うんだもんね。不二くんがさっき教室から出てからいうあたり、なおさら性格悪いっての!」
「まぁまぁ、そこまで言わなくても・・・」
「あのね~、璃音が怒らないから私が変わりに怒ってるんじゃない!」


美沙ちゃんが自分の事のように鼻息を荒くして怒ってくれるから、さっきまでの嫌な気持ちはどこかに飛んで行き、自然と笑顔になる。


美沙ちゃんはしっかりしていて、はっきり物事をいうタイプで、私とは正反対なんだけど、なんだかんだと気が合って、いつも良くしてくれる。


そう、あの時もそうだった。
中学に入学したばかりの頃、何度か昇降口で不二くんと話をしたことがあった。
その後、数人の女子から色々言われてしまい、そこで私を庇ってくれたのが美沙ちゃん。


美沙ちゃんとはそれ以来ずっと仲良しで、彼女のおかげで私は負けずにいられるんだと思う。
周囲の反応にも、自分の気持ちにも・・・


「それよりさ、今度の学祭のメインイベントなんだけどね?」


そう美沙ちゃんが話題を変える。
美沙ちゃんは今回の文化祭実行委員をしていて、その実行委員主催の企画の話らしい。


「『愛のラブラブ大作戦!あなたも私もみなハッピー♪いらっしゃいませ~喜んで~』っていうの。」
「・・・愛の?いらっしゃいませ?なにその胡散臭そうな名前・・・」
「名前は企画発案者でもある委員長の趣味だから突っ込まないで・・・」


確か委員長は11組の乾くんだっけ・・・
テニス部のレギュラーで不二くんや菊丸くんと時々一緒にいるところを見かける。


逆光をしながら、物凄くまずい汁を飲ませるって、前に菊丸くんが文句を言っていたことがあったっけ。
不二くんは結構いけるよ?おススメ、と言ってたけれど。


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