第2章 【バカとテストと越前リョーマ】
「だから、アルファベットが並んでいても、何それ?記号ですか?暗号ですか?って感じなのよね。」
「じゃぁ、どうしようもないじゃないっすか・・・。」
「だから何とかしてよ!」
「なんとかって、暗記は本人が努力しないとどうしようもないっしょ。」
はぁ~とリョーマくんはため息をついたかと思うと、私の教科書にアンダーラインを引き出した。
「この単語、頑張って覚えて。」
「・・・頑張る・・・。」
「あとここはこれが間違い。正しい使い方は・・・」
「ふむふむ・・・。」
へぇ~、意外。結構丁寧に教えてくれるじゃん・・・。
なんだかんだと私の質問にきちんと答えてくれる。
授業だとわからなくても他の生徒のペースでどんどん進んで行っちゃって、全然解らないままになっちゃうのに、リョーマくんは何回もきちんと説明してくれる。
それに・・・よく見ると・・・やっぱりきれいな顔してる。
おっきい目、長いまつげ・・・サラサラの髪・・・。
生意気でぶっきらぼうだけど、なんだかんだ言って優しい・・・。
なんか、他の子達がキャーキャーと騒ぐ理由が解る気がするなぁ・・・。
「・・・輩・・・先輩!」
「・・・え!?な、なに?」
「ちゃんときいてる?本当にやる気あんの?」
「う・・・ごめんなさい・・・。」
「さっきから何回同じこと言わせんの?その頭、本当に脳みそ入ってる?」
「ムカッ!入ってるわよ!もうずっしりとね!見せられなくて残念よ!」
前言撤回!!やっぱりこいつは憎ったらしいやつ!
一瞬でもいいやつと思った私が間違っていた!!
全く、なんなのよ、偉そうに!
そりゃ、今は私が教えてもらっている立場だから、リョーマくんのほうが立場は上かもしれないけれど?
テストが終ってまた部活が始まったら散々虐めてやるんだから!
先輩は私!あんたは後輩!上下関係、きちんとはっきりさせやる!
でもこいつのおかげで、プレテストの内容はなんとなく理解できた気がする。
あとは単語をひたすら暗記するのみ。
うん、なんとかなりそうな気がしてきた。
ま、ムカつくけれど、そこは素直に感謝しておこう。
私、こいつと違って大人だから♪
「ま、いいや、本当助かったよ、ありがとうね!ちょうど下校時刻だし、そろそろ帰ろっか。」
「・・・ウィッス。」