第2章 【バカとテストと越前リョーマ】
「・・・なに?まだからかい足りないわけ?」
「なんだったら、俺が教えてやってもいいけど?」
「はぁ?バカにしてんの?いくら私でも1年生に教えてもらうほど・・・って、ああぁぁぁぁぁーーーーーー!!!」
忘れてた!こいつ、帰国子女で英語ペラペラじゃん!
かなりムカつくやつだけど・・・背に腹は返られない。
こいつに頭を下げるのはムカつくけれど、グラウンド100周&乾汁よりはまし。
「うふふ~、リョ~マくん♪」
「・・・気持ち悪いッス。」
気持ち悪いとは何よ!本当に失礼なやつね。
私は顔は笑顔のまま、平手で頭を叩いてやった。
「・・・痛いっス・・・。」
「さ、行くわよ!」
「行くって・・・何処へ?」
「あ、そうねぇ、図書室だとまた怒られそうだし・・・どうしようか?」
「全く考えなしっスね、先輩、それでよくマネージャーが勤まるね。」
「うっさい!!」
結局、私達は空き教室を見つけ教科書を広げる。
普段、学年が違う私達は絶対同じ教室で勉強する事はなく、向かい合って座るとちょっと気恥ずかしいような、そんな妙な気持ちになった。
「・・・で、そのテスト、もっとよく見せてよ。」
「え゛!!??」
「傾向とかわかんないと教えようがないし。それにいまさら試験範囲を全部やる時間ないでしょ、そのテストだけ完璧にする方が確実。」
確かに・・・もっともな意見だわ・・・。
またこのテストを見られるのは嫌だけど、仕方が無いわね、とそれを差し出す。
彼はふーん・・・と言いながら、一通りテスト用紙に目を通した後、ゆっくりと口を開いた。
「先輩・・・スペル間違い多すぎ。ちゃんと見直してる?」
「う・・・してるわよ・・・一応。」
「とにかく、単語と日本語訳さえ何とかすれば大丈夫そうっすね。」
「だから何ともならないから困っているんじゃない。」
「とにかく俺が言ったところだけ丸暗記すれば大丈夫。」
丸暗記・・・そりゃ、日本語なら丸暗記も可能だけど、英語だとそう簡単には行かないのよね。
簡単に言わないでほしいわ、と私は頬を膨らませた。