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【テニプリ】桜の木の下で

第7章 【とある乾の禁書目録】




「すみません、助かりました。」
「いえいえ、どういたしまして。」


校長先生が去った後、俺は彼女に礼を言った。
彼女は必死に笑いをこらえていたが、こらえきれずお腹を抱えて笑い出す。


「そんなにお可笑しいかな?」
「だって・・・乾くん、似合い過ぎ!!」


そうだろうか・・・色々複雑な思いはあるが、彼女が喜んでくれたのならそれでいい。
この高額をだして買った人面犬のキグルミも十分価値がある買い物だったということだろう。


「いやいや、大変面白いものを見させていただきました。」
「・・・大和部長!?」
「祐大!!」


ゆう・・・だい・・・?


彼女が大和部長の名前を呼び捨てにしたことで、突然部長が現れた驚きはどこかへ飛んでいく。


冷静を装ってご無沙汰しております、と頭を下げるが、心の中の動揺をうまく隠せているか自信がない。
心臓がズキンと痛み、妙な胸騒ぎがする。


「乾くん、相変わらず元気そうですね。」
「おかげさまで、大和部長もお元気そうで何よりです。」
「祐大!!あのままこっそり笑ってみてたんでしょう!」


あのまま?そう小宮山さんに聞くと、彼女の顔がまたあの桜色になる。


「あ、さっき、ゆう・・・大和くんと話してたらなんか騒がしくて、見たら乾くんが校長先生に捕まっていたから助けてあげてって言ったのに、まぁ、ちょっと様子を見てみましょうって言って・・・」


祐大ったら酷いんだから!そう頬を膨らます彼女に大和部長が、ははは、すみませんと笑う。


2人の会話がだんだん遠のいていく。


そうか・・・彼女が頬を染めて話す相手は大和部長なのか・・・
なるほど、確かに個性的な人にも当てはまる・・・
名前で呼ぶところが親密さを物語っている・・・


「・・・くん!、乾くん!!」


彼女に名前を呼ばれ、我に返る。
どうしたの?という顔で彼女が俺を見ている。


「すみません、授業が始まるので俺はこれで・・・大和部長、失礼します。」


俺はいたたまれず足早にその場を後にした。
彼女が心配そうな顔をして俺を見ていたが構っていられなかった。
大和部長は相変わらず、何を考えているかよくわからない笑顔だった。


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