第6章 【迷い猫海堂ラン!】
その日から海堂とは話をしなくなった。
当然、毎日一緒に食べていたお昼も別々。
以前のように夕方の河川敷ですれ違うだけの生活に戻った。
そう、戻っただけ、何も変わらない。
だから平気。
頭がクラクラする・・・
胃が痛い・・・
イライラする・・・
このところ課題提出のために睡眠時間、削っているからかな・・・
思うように身体と心のバランスがとれない。
「おねぇちゃん、ただいまー」
「うん・・・」
河川敷を歩く時の弟の声がいつもより遠くで聞こえる・・・
繋ぐ手が小刻みに震えて止まらない・・・
「あのね、今日ね、お弁当全部食べたんだよ!」
頭がクラクラする・・・
「それからね、お友達と喧嘩しなかったんだよ」
胃が痛い・・・
「あとね、かけっこで一番になったんだよ!」
イライラする・・・
「・・・うるさい」
「おねーちゃん・・・?」
「うるさいってば!!!」
思わず大きな声を出し、ハッと弟を見る。
弟は目から大きな涙を流し、ごめんなしゃい・・・と謝る。
ううん、違うの、おねーちゃん、八つ当たりしただけなの・・・
ごめんね、ごめんね・・・
そうして弟を抱きしめた途端、目の前が真っ白になり、そのまま道路にしゃがみ込んだ・・・
あぁ・・・やばい・・・かも・・・
地面が・・・回る・・・
「大丈夫ですか!?・・・小宮山!?おい、小宮山か!?」
「・・・かい・・・どう・・・?」
あぁ、海堂に私だってばれちゃった・・・そう思う一方で、久しぶりに話をできたから、もういいか、とも思う。
やっぱり私、海堂がいないともう頑張れないみたいだよ・・・
以前と同じじゃもう駄目みたいだよ・・・
薄れゆく意識の中で見た海堂に私は必死に謝った。
ごめんね・・・海堂・・・ごめんね・・・?
「いいから黙ってろ」
ごめんね・・・嫌わ・・・ない・・・で・・・