第6章 【迷い猫海堂ラン!】
家に帰るとすぐにうがい手洗い。
「おねーちゃん、テレビみてもいい?」
「いいよ、でもその前に・・・」
「はーい、おかーさんにただいまのごあいさつ!」
そして弟と一緒に仏壇に手を合わせる。
私たちの母は、3年前・・・私が小5で弟が2歳の時に病気で亡くなった。
父は母をそれはそれは愛していて、母の死を受け入れるのが辛かったのだろう。
仕事に打ち込むことで悲しみを乗り越えようと、それ以前より一層仕事に励むようになった。
今は私たちが寝てからしか返ってこないし、朝も滅多に会えない。
休日も出勤が多いし、家にいても寝室からあまり出てこない。
なので私は家事と弟の世話を一人でこなしている。
大変なこともあるけれど、父の気持ちは痛いほどよくわかるし、弟はもちろん可愛いし、私は今の生活を苦だと思ったことはない。
挨拶をおえたら着替えてすぐに夕飯の準備、弟とお風呂に入って夕飯を食べて、その後片付けに寝かしつけ。
やっと一息ついてなんとか宿題を終わらせたところですでにもうクタクタ。
もうすぐあるテスト勉強しなくっちゃ・・・でももう瞼が重くて勉強どころではない。
明日も朝早くから私と弟のお弁当作りに朝食の準備、洗濯と簡単な掃除を済ませてから、保育園に送り届けて登校しなければならない。
夜が更けてから帰ってくるお父さんの夕飯を食卓に並べ、ラップをかけたらメモを添える。
「お帰りなさい、今日もいつもと変わらず元気です。おやすみなさい。」
そして私は眠りについた。