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【テニプリ】桜の木の下で

第5章 【手塚ドロップ】




「跡部、今は取り込み中だ、部外者は出て行ってもらおう」
「まぁ、そういうな手塚、今ここで俺様を追い出すと後悔するぞ、それに部外者ってわけでもねぇ。」
「どういうことだ?」


状況が今一つ飲み込めない俺に、まぁ待て、と跡部は市川に歩み寄る。


「おいそこの女、てめーの言う契約書ってのはこれのことか?」
「ちょっ!なんであんたがそれを持っているのよ!!」


市川が跡部に食って掛かる。
跡部は、フンと笑うと、その契約書を無造作に破り捨てた。


!!


なにするのよ!と市川がその契約書に駆け寄る。


「フン、そんなもの、もうただの紙切れでしかねぇ」


跡部はそう言うと、俺に一枚の紙を放り投げた。


「おい手塚、さっさとこれにサインしろ!たった今から、手塚国光のスポンサーは跡部グループだ」


なるほどな。
俺はは契約書に目を通し、さっと名前を書き入れると、これで契約完了だな、と跡部がクククッと笑った。


「なんなのよ!!パパ!・・・パパ!!・・・なんで電話が通じないのよ!」
「ふん、お前のパパなら、今頃いろんな対応に追われているだろうよ?」


跡部がそういうと、市川は敵意むき出しで睨みつけ、生徒会室から飛び出していった。


市川を追いそうになる小宮山の肩を掴み、黙って首を振る。
彼女は足をとめ少し複雑な表情で俺を見上げた。


「それでいい、取引にはリスクが付きものだ、あいつは契約を盾に汚い手を使って取引に負けた、敗者は去るのみだ」


そういう跡部に、感謝する、と礼を言うと跡部は、礼なら不二にいいな、と顎で一方を指して笑った。


跡部の指す先に目をやると、やぁ、と笑顔の不二が立っていた。
どういうことだ?と聞くと、僕はただ知人と世間話をしただけだよ?と微笑んだ。


そういうことか、不二も跡部も・・・俺は本当に良い友を持ったな。
そしてもう一度礼を言う。


「な~に、俺は世界最高の舞台で、最高のお前を叩き潰したいだけだ、勝手に自滅されては困るからな」
「望むところだ」


そしてお互い、フッと笑った。


「ところで跡部、なんだ、この適当な契約書は」


【好きなようにやれ、費用はすべて俺様が出してやる】


そう問う俺に、時間がなかったんだよ、しゃーねーだろ?と笑い、行くぞ、樺地!と跡部は生徒会室を後にした。

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