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【テニプリ】桜の木の下で

第4章 【タカさんに届け】




「本当にすみませんでした!」


不良さんに向かって全力で謝ります。
まさかこんな目つきの悪い怖そうな方が、あの穏やかな河村先輩のお友達だなんて。
ちょっと信じられない気持ちです。


「おい、お前!」
「は、はひっ!!」


謝りながら失礼なことを考えていたことがばれているのでしょうか?
私は河村先輩の後ろに思わず隠れてしまいました。


「お前、河村の女か?」
「えぇぇ!!!」
「亜久津!」


お、女ってやっぱり彼女っていう意味でしょうか?
そりゃ、そうなれたら嬉しいけれど違うのです。


私は慌てて、ち、違います、と訂正しました。


「なら、俺の女になれ」


な、なんですとーーーーー!!!
何故急にそうなるのでしょうか?


「あ、亜久津!!!」


えっと、とりあえず返事をしなくてはなりません。


「ご、ごめんなさい!私、河村先輩が好きなので不良さんの女にはなれません。」


あ、私ったら、思わずうっかり言っちゃいました!
河村先輩がびっくりしてみています。


は、恥ずかしい~~~~~!!
私はいたたまれずにくるりと向きを変えて走り出しました。


「!璃音ちゃん、危ない!!」


ゴンッ!!


走り出したところには、大きな桜の木があり、私は思いっきり激突して仰向けに倒れたのでした。


「璃音ちゃん!・・・璃音ちゃん!!」
「ハーーーッハッハッ!あとはお前が男を見せる番だぜ、河村。」


遠のく意識の中で、私を呼ぶ河村先輩の声と、不良さんの笑い声を聞いた気がしました・・・


☆ ☆ ☆


「・・・ちゃん、璃音ちゃん!」


・・・どのくらい気を失っていたのでしょう。
私を呼ぶ河村先輩の声が聞こえます。


「あぁ、良かった、気が付いた。」


・・・ハッ!!
私、そういえば勢い余って告白して、逃げる途中だったのです。


私は慌てて飛び起きました。
飛び起きましたが・・・今度はおでこの痛みでしゃがみ込みました。
先ほどぶつけたところが痛いのです・・・


本当、何から何まで恥ずかしすぎます。
穴があったら入りたい、とはまさにこのことです。


私は目の前の地面を手で一心不乱に掘り出しました。


「うわっ!璃音ちゃん、何やってんの!?」


入る穴がないので掘っているところです・・・

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