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【テニプリ】桜の木の下で

第4章 【タカさんに届け】




「大丈夫かい?」
「・・・はい・・・」


河村先輩が私の手や制服についた土を払ってくれています。
私は自分が嫌になりました・・・
もうなされるがまま、という感じです・・・


「はい、きれいになったよ」
「・・・ありがとうございます・・・ではさようなら」


私はまた向きをかえ走り去ろうとしました。


「あ、待って!璃音ちゃん!」


走り去ろうとしたら河村先輩に手をつかまれたのです。


「さっきは、ありがとう。」
「はい?」


何がありがとうなのでしょうか?


「すごく嬉しかったよ、ごめんね、女の子から言わせちゃって・・・」
「・・・へ?」


河村先輩が私を見ています。
私も先輩から目が離せないみたいです。


「俺も好きだよ、璃音ちゃんのこと・・・」
「・・・え・・・えぇぇ!!!」


空も雲も木も花も、世の中のすべてが輝いて見えます。
河村先輩を好きになったあの瞬間の時のようです。
吹く風が私たちを祝福しているかのようです・・・。


こんなに素敵な人が、私を好きだなんて・・・。


「か、河村先輩!」
「な、何かな・・・?」
「これから王子様って呼んでいいですか!?」
「・・・え?」


あー、ちょっとそれは・・・ごめん、と、断られちゃいましたが、これからは彼氏になってくれるそうです。


「ふ、ふしだらものですが、よろしくお願いします!」
「はは・・・ふつつかもののことかな?」


差し出した私の手をとってくれた河村先輩の手はとても大きくて、とっても安心できました。


こんなにくすぐったい握手は初めてでした―――





河村隆編
【タカさんに届け】完
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