第4章 【タカさんに届け】
前回の告白は失敗に終わりました。
今度は入念に準備をして再挑戦です!
「・・・とりあえず無難にプレゼントでも渡せば?」
プレゼント!それは良い提案です!
さすが美沙ちゃんです。
でも、何がいいのでしょう?
美沙ちゃん情報によると、一番欲しいものは包丁・・・プレゼント向きではない気がします。
好きな食べ物はマツタケの土瓶蒸しと生いくら丼・・・高くて買えません。
ここは無難にお菓子にしとけと言われました。
はい、そうします。
週末、美沙ちゃんと一緒にクッキーを作りました。
美沙ちゃんは不二先輩にあげるんだそうです。
やっぱり美沙ちゃんは男の趣味が悪いと思うと言ったら、鼻で笑われました。
・・・何故でしょう?
☆ ☆ ☆
いよいよ河村先輩にクッキーを渡そうと思います。
美沙ちゃんに付き合ってと言ったら断られました。
一人で行け、面倒くさい、だそうです。
大丈夫です。
何度も言いますがこれも彼女の愛情表現なのです。
「カモーーーン!!!かかってきなってなモンキーーー!!」
今日もテニスコートには河村先輩の素敵な声が響いています。
練習が終わるまで、こっそり待っています。
すごくドキドキしています。
受け取ってくれるといいのですが・・・。
「河村先輩!」
「やぁ、璃音ちゃん、今日も来てたんだね」
「は、はい!あの・・・その・・・」
やっぱりプレゼントを渡すとなると緊張しちゃいます。
なかなか思うように言葉が出てきません。
「河村先輩、その・・・コレ・・・」
私は思い切って可愛くラッピングをしたクッキーを差し出しました。
「・・・あぁ、うん」
やりました!
河村先輩がクッキーを受け取ってくれました!
さ、あとは告白するだけです!
さぁ、言うのです。好きですと!
「・・・で、コレ誰に渡せばいいんだい?」
「・・・はい?」
「手塚?不二?・・・それとも英二かな?」
違います、違うのです。
それは私の王子様、河村先輩のために一生懸命作ったものなのです。
でも、河村先輩にそう言われたら・・・とても言えません・・・
「・・・河村先輩のカバーーー!!!」
バカとは言えないので、せめてカバにしておきました。
そしてクッキーを取り返すと走って逃げました。
・・・涙が出ました。