第4章 【タカさんに届け】
王子様、王子様があそこにいます。
先ほどのやわらかい雰囲気とはちょっと違うのが気になりますが・・・あの激しい感じもまた素敵です。
はっ!もしやこれがギャップ萌えというやつでしょうか!?
あぁっ!王子様がこちらに来ちゃいました。
お礼、お礼をしなくては!!
「あ、あの!先ほどはありがとうございました。これ使ってください!」
「あぁ!それ、不二さんに渡すタオル!」
私は美沙ちゃんの手からタオルを奪うと王子様に渡しました。
「サァンキュー、ガ~~~ル!・・・あ、さっきの。」
あ、タオルを受け取る為ラケットを置いたら昼間の王子様に戻ったみたいです。
「はい!小宮山璃音です!よろしくお願いします!」
「うん、よろしく~、ゆっくり見学していってよ。」
「はい!全力でゆっくりします!」
「はは、君、面白いね。タオル、ありがとう。」
王子様に褒められちゃいました・・・
「・・・璃音、そのタオル、洗って返してね?」
気が付くとなぜか美沙ちゃんが怒ってました・・・
☆ ☆ ☆
王子様は河村隆先輩だと美沙ちゃんに教えてもらいました。
テニス部のレギュラーだそうです。
私はその日から毎日テニス部に通うことにしました。
王子様・・・河村先輩はそんな私にやさしく話しかけてくれます。
「え?河村先輩のお宅、お寿司屋さんなんですか?」
「うん、そうだよ、俺も一応手伝っているんだ。」
板前さんの河村先輩、想像しただけでかっこよすぎます!
ちょ、ちょっと待ってください!
河村先輩と結婚したら・・・板前さんの河村先輩、その横には割烹着姿でお手伝いをする私・・・考えただけで鼻血がでそうです。
「あ、あの!今度お手伝いに行ってもよろしいでしょうか!?」
「えぇ?なんで君が手伝いにくるんだい?」
「・・・そ、それは・・・好きだからです!」
思わず勢いで言ってしまいました・・・
河村先輩・・・どう思ったでしょうか・・・?
「そうなんだ、璃音ちゃんは仕事したいほど寿司が好きなんだね。」
「・・・はい」
確かにお寿司も好きですけど・・・違います。
「なんのネタが好きだい?」
「・・・わさび寿司って気分です・・・」
「はは、なかなか通だね。」
・・・いえ、泣きたい気分ってことです。