第4章 【タカさんに届け】
「大丈夫?・・・どこか痛くしなかった?」
「は、はい!」
私、思わずぼーっとしちゃいました。
彼がちょっと心配そうな顔をして見ていたから、慌てて返事を返します。
「職員室?」
「はい」
「大変だね、女の子がこんな沢山。」
お、女の子ですって!私、女の子扱いされてますよ!?
しかも黙って私の抱えているノート、全部持ってくれちゃってます!
「男子の日直がサボっちゃって・・・」
「そっか、それは酷いね、はは」
いえ、私、いまその男子に全力で感謝感激しております!
ありがとう、ありがとう、本当にありがとう。
職員室まで永遠に着かなればいいのに・・・
なんて願いもむなしく、あっという間に着いちゃいました。
先生の机にノートを置くと、王子様は颯爽と去って行ってしまいました。
はぁ・・・なんて爽やかな人なのでしょう。
恋!これが恋なのですね!
フォーリンラブというやつなのですね!
空も雲も木も花も、世の中のすべてが輝いて見えます。
じっとしていられない気持ちです。
恋ってなんてスバラシイ~~~!!!
ララララ~~ララララララ~~♪
この素晴らしさを表現するために、私はずっとくるくる回りながら教室に戻りました。
「・・・バカが歌って踊ってるよ・・・」
「あ、美沙ちゃん!!」
教室に戻ると私の親友の市川美沙ちゃんが話しかけてくれました。
「近寄らないで、バカの同類だと思われたくない。」
美沙ちゃんは毒舌です。
でも安心してください、彼女の愛情表現なのです。
「美沙ちゃん、璃音は王子様に出会っちゃいました・・・」
「は?」
「王子様は本当にいたのです・・・」
「キモイ、黙れ。」
バシッ!美沙ちゃんの鉄拳が飛んできました。
「・・・痛~~~い。」
これも大丈夫です。
美沙ちゃんの鉄拳も愛情表現なのです。