第4章 【タカさんに届け】
「あーん、重~~~い!!」
私、小宮山璃音、青春学園中等部に通う2年生です。
何が重~~~い、かですか?
それは、コレ、クラス全員分の課題ノートです。
こんな日に限って日直なんて私、本当に運が悪いです。
というよりもう一人の日直の男子がサボったのが悪いと思います。
これだから男の子って嫌いです。
お友達はみんな好きな人がどうとか、彼氏がどうとか、そういう話題で持ち切りだけど、私にはまだまだそういうのは全然縁がないみたいです。
どこにいるの?・・・璃音の王子様―――
【タカさんに届け】
「すみませ~ん・・・・避けてくださ~い・・・」
職員室はまだまだ遠いです。
でも前は見えないし足はフラフラ、ノートの重さで手もしびれてきちゃいました。
あーん、もういい加減にしてください~。
やっと2年生フロアから降りる階段まで来ました。
でもまだまだ先は遠いです。
とりあえず階段を下りなくてはいけません。
ノートでよく見えない前を何とか横から確認して階段を降りようとしたその時でした。
大変!私ったらバランスを崩しちゃいました。
やだやだ!私、このまま大量のノートと一緒に階段から真っ逆さまですか?
そんなの嫌~~~!
でももう足の踏ん張りが効かないのです。
もう駄目~、か、神様助けてぇ~~~!!
神様にお願いしてみたけれど、そのお願いもむなしく、私はスローモーションで階段から落ちて行くのでした。
痛ったーーーー・・・・くない?
あれ?私、落ちてないみたいです。
恐る恐る目を開けてみると、目に入ったのは筋肉質のたくましい腕。
ノートも崩れていなくて、ノート越しに見えるのはしっかりした胸板。
そーっと顔を上げてみると、やさしそうな笑顔の男の子。
「大丈夫かい?危なかったね」
私、ノートごとこの人の受け止められたみたいです!
おかげで階段から落ちずにすんじゃいました。
凄い凄い!
階段から落ちそうになっている子を簡単に受け止めるなんて、なんてたくましい人なんでしょう!
見つけちゃいました!璃音の王子様―――