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【テニプリ】桜の木の下で

第10章 【菊丸ステップ】




「璃音ちゃん、どったの?」


平静を装ってそう話しかけた。
って、そういや、俺、璃音ちゃんが俺を待っていたと思いこんじゃったけど、偶然、通りかかっただけだったりして・・・


それどころか、万が一、不二を待っていた可能性だってあるわけで・・・
だったらどうしよう、俺、立ち直れない・・・


「英二くん、あの・・・」
「ん?」


あ、良かった、やっぱ俺のこと待っててくれたんだ。
安心した俺の前に、璃音ちゃんが可愛い包みを差し出してくれた。


「もしかして・・・チョコ?」
「うん、学校で渡そうと思ったんだけど・・・英二くんの周り、いつも女の子がいて・・・その・・・」


あぁ、そっか、今日は入れ替わり立ち代り、女の子達が来てたから・・・


「そっか、あんがとね。すんげー嬉しい・・・」
「喜んでもらえてよかった・・・」
「ね、ちょっと開けてみてもいい?」
「え、いいけど・・・ここで?」


恥ずかしがる璃音ちゃんをなだめ、可愛くラッピングされた箱を開ける。
そのチョコは一目で手作りだとわかって、俺はまた嬉しくなった。


「自信、ないんだけど・・・英二くん、お菓子作りも上手だし・・・」
「そんなこと無いよ!すんげー美味しそう!」
「そう言ってもらえると嬉しい・・・」


女の子からもらうチョコは無条件で嬉しい。
でも好きな子からもらうチョコは比べられないほど嬉しい。
それが手作りだったら・・・もう最高だ。


「でも、食べちゃうのがもったいないな~・・・ずっと食べないでとっとこうかにゃ?」
「そ、それは・・・溶けちゃうから・・・早く食べてね・・・?」
「あ、そっか。」
「うん、そうだよ?」


そして2人で顔を見合わせて笑いあう。
あ、今なら・・・素直に言えそうじゃん?
っていうか・・・璃音ちゃんに伝えたい・・・俺の気持ち・・・


「あ、あの、璃音ちゃん!」
「は、はい!?」
「あ、あの・・・よかったら俺と・・・」
「やぁ!英二!こんなところで偶然だな!」


「・・・・・・・・・大石?」


振り返ると、大石があの爽やかな笑顔で手を振っていた。


「付き合ってくんない?」


一度飲み込んだ言葉はもう出てこない。


ったく、大石のヤロー!少しは空気よめよな!!


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