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【テニプリ】桜の木の下で

第10章 【菊丸ステップ】




渡り廊下まで来ると、きれいに光る桜の木が目に留まる。
へぇ、今まで気が付かなかったけど、結構本格的なイルミネーションじゃん。
彼女と一緒に見たかったな・・・思わず桜の木に歩み寄る。


「・・・英二くん?」


今、一番聞きたい声が聞こえてきて振り返ると、そこには一番会いたい彼女が立っていて、夢かと思って絆創膏を貼ってある頬を引っ張る。


イタタ、夢じゃない、とその頬に手を当てしゃがみ込む。
だ、大丈夫?と心配そうにのぞき込む彼女に、だいじょーぶい!と笑顔でVサインをし立ち上がる。


「ふふ、何やってるの?」
「いや、夢かと思って・・・」


そういってまた2人で笑いあう。


「ところで璃音ちゃんはどうして学校に?」
「塾の帰りに図書室でちょっと調べものして・・・英二くんは?」
「俺は・・・補習・・・」


俺は苦笑いをし、彼女はちょっと気まずそうに笑った。
あ、そうそう、と微妙な雰囲気を取り払うように俺はバッグからプレゼントを取り出す。


「メリークリスマス!璃音ちゃん!」
「え?私に・・・?」
「うんにゃ~、似合うと思って思わず買っちった!」


そう言ってニカッと笑うと、彼女も慌ててバッグを開けると、あのね、私も・・・とちょっと恥ずかしそうに包み紙を差し出した。


予想していなかった彼女からのプレゼント。
偶然ここで出会って、偶然お互いにプレゼントを用意しあっているなんて、もしかして俺って、璃音ちゃんともシンクロ出来ていたりして?


「やった♪開けていい?」


うん、と彼女が頷くのを確認して包みを開ける。
そこには俺がほしかったニットの帽子。


嬉しくて、似合う~?とすぐにかぶって見せる。
うん、と彼女は嬉しそうに笑って俺のあげた手袋を似合う?と見せた。
想像以上にそれは彼女にぴったりで、また嬉しくなった。

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