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【テニプリ】桜の木の下で

第10章 【菊丸ステップ】




◆クリスマス◆


街中がイルミネーションで光り輝くクリスマス。
冬の澄んだ空気と年末の華やかさが街中を包む。
中庭の桜もきれいにライトアップされている。


本来だったら一年で一番楽しい季節。
でも悲しいかな、今は受験戦争の真っただ中。


いくら付属高校に進学するとは言っても、テニスばかりしていた俺は余裕で合格とはいかない成績で、冬休みにもかかわらず教室で授業を受けていた。


・・・って、テニスしてなくても勉強は苦手なんだけど。


だいたい先生も人が悪いよな。
なんでクリスマスイブに補習なんだよ。
受験生にクリスマスはクラスギマス。


補習なんだから当然頭の良い不二も、璃音ちゃんも教室にはいない。
はぁ・・・つまんねー・・・机に突っ伏し、ため息をついた。


ばこっと頭に衝撃が走る。
身体はそのままに目線だけあげると、いつものように先生が丸めた教科書をもって立っていた。


「菊丸!教科書くらい出せ!」
「ほーい・・・」


教科書を出そうとバッグを開けると、目に入ったのは赤と緑の包み紙。
商店街の店先で彼女に似合いそうと思わず衝動買いしたプレゼント。


彼女にですか?いいですね~、なんて営業スマイルを思い出し恨めしく思う。
彼女でもないし、だいたい渡せる機会すらないじゃんか。
はぁ~~~、何やってんだよ俺・・・また一つ大きなため息をついた。


「じゃ、今日はここまで、次も遅れるなよ。」


ふー、やっと終わったー、と背伸びをして立ち上がる。
英二、カラオケ行こうぜ!とのクラスメートの誘いを気分が乗らないと断る。
残念そうに何度も誘う女の子達に、ごめ~ん!と片手で謝り教室を出る。


こんな日に一人は寂しいけれど、一緒に過ごしたい女の子はただ一人だけ。

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