第10章 【菊丸ステップ】
厨房の隅に座り込むと璃音ちゃんが千石が残したオムライスを下げてきた。
「あ、璃音ちゃん、さっきは千石がごめんにゃ?」
「ううん、大丈夫だよ。それより英二くん、これ・・・食べる?」
「そだね、せっかくだし、食べちゃおうかな。」
「じゃ・・・私、仕事に戻るね。」
食べようと思ってオムライスを見て動きが止まる。
オムライスには千石が帰るまでは無かったLOVEの文字。
これ、璃音ちゃん・・・だよね?
それを俺に持ってきたってことは・・・もしかして璃音ちゃんも俺のこと・・・?
わーわー、早速、いただきまーす!パクッ!
「ウグ・・・×◆▽&◎・・・!!!」
何だコレ?何だコレ?何だコレーーー!?
中身ケチャップライスじゃなくてタバスコライスじゃん!
・・・不二のやつーーーーー!!
千石が食べないで帰った理由がわかった。
あいつ、野生の感でこれを察知したんだな?
ったく、どうすんだよ・・・これ・・・
仕事に戻った璃音ちゃんとオムライスのLOVEの文字を交互に見つめる。
「・・・えぇい!!」
俺は気合でオムライスを口いっぱいに頬張った。
「なんなら僕が食べてあげても構わないよ?」
なんて面白がって笑う不二を無視して、必死に食べる。
璃音ちゃんの「LOVE」。
もったいないから俺が全部食べちゃうもんね!!