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【テニプリ】桜の木の下で

第10章 【菊丸ステップ】




「聞いてよ、不二ぃ!山吹中の千石が来ててさ~、参っちゃったよ~・・・って、あれ?このオムライスは?」


目に入ったのはカウンターの隅に避けてある、出来立てのオムライス。


「あぁ、それ?さっき、間違って作っちゃったんだ。」
「あまってんの?じゃ、これ、持ってくよん!」


あ~、良かった、この分はやく追い出せるもんね!
・・・って、千石の奴、まーた璃音ちゃんに話しかけてんじゃん!


俺は慌ててテーブルに戻ると、オムライスを千石のテーブルの上に乱暴に置く。


「ほい!これ食べたらさっさと帰れよな。」
「そんなに怒んなくても帰るよ~。・・・あ、そうだ!璃音ちゃん。」
「はい?」
「ケチャップでLOVEって書いてちょーだい♪」


な!なんてこと言うんだよ!
またとんでもないことを千石が言い出した。


「お前、何言ってんだよ!!」
「L・O・V・E・って書いてよ?」
「そ、そんなの駄目に決まってるだろ!」
「う~ん・・・またまた残念。」


璃音ちゃんにLOVEだなんて、そんなの俺が絶対許すはずないじゃんか!
俺がにらみを利かせていると、千石はオムライスをみてなんか考え込んでいる。


「どうしたんだよ?さっさと食べろよ?」
「・・・う~ん・・・美味しそうなんだけどね・・・これ、菊丸くんにあげるよ。」
「はぁ!?何言ってんだよ?」
「お金はちゃんと払うからね、はい。じゃ、俺はこれで帰るよ。璃音ちゃん、またね~♪」


・・・なんなんだよ?あいつ、訳わかんねー。
なんて思ってたら、あ、そうそう・・・と帰りかけた千石が振り返る。


「なんだよ、忘れ物かよ?」
「ううん、頑張ってね、菊丸くん♪」
「な、何をだよ!もうほんとに帰れよ!」


俺は千石の背中を押して無理やり追い出した。
はぁ・・・疲れた・・・璃音ちゃんの前で本当に心臓に悪い。

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