第10章 【菊丸ステップ】
「キミみたいな可愛い娘に出会えるなんて、本当ラッキーだなぁ~♪」
「あ、あの・・・?」
おっ、早速来たねー!でも、安心してね、璃音ちゃん!
俺がそんな男、すぐに追っ払っちゃる!
・・・って、あれ?この声・・・もしかして!?
「千石ーーー!!こんなところで何やってんだよぉ!!」
「あれ?菊丸くん?ここ、君のクラス?」
「あぁ、そうだよ!だからナンパなら他所でやれよな!!」
「やだなぁ~、ナンパなんてしてないよ?可愛い女の子を見かけたから、ちょっと声をかけただけだよ~。」
それを世間一般ではナンパっていうんだよっ!!
俺は千石と璃音ちゃんの間に割って入り、千石をにらみつける。
「ねぇねぇ、彼女ってばぁ!」
「璃音ちゃん!ここはいいから、あっちをお願い!」
「あ、うん、よろしくね?英二くん。」
とにかく、コイツから璃音ちゃんを引き離さないと・・・
璃音ちゃんが厨房のほうに下がったのを確認すると千石がニヤニヤして口を開く。
「へぇ~、璃音ちゃんって言うんだ。可愛いねぇ、菊丸くんの彼女?」
「そ、そんなのどうだっていいだろ!」
「ふぅ~ん・・・違うんだ?可愛いね、彼女。本気でアタックしちゃおうかな~。」
「な!!駄目だぞ!璃音ちゃんは俺のだかんな!!」
千石の野郎、何を言い出すんだ。
しかもこいつなら本気でやりかねない。
「う~ん、駄目かぁ・・・それは残念。」
「ったくもう、さっさと帰れよぉ!」
「うん、帰るよ。オムライス、食べたらね。」
「・・・は?何だよ?急に。」
「何ってここ、喫茶店だろ?オムライス1つね。」
「・・・かしこまりました!ご主人様!!」
メニューを千石の手から奪いとると厨房に向かう。