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【テニプリ】桜の木の下で

第9章 【大石の大罪】




「違うんだ、璃音、オレもキミが好きなんだ・・・!」


予想に反するその答えに、私は思い切り目を見開いて、秀一郎の顔を見上げる。
秀一郎の手が私の両肩に置かれ、ビクンと身体が跳ね上がる。


どういうこと・・・?
頭が混乱して何が何だかわからない。
もしや私、自分に都合の良い幻聴が聞こえてる・・・?


・・・いや、違う、この天然KY玉子様の秀一郎のことだ、私の一世一代の告白の意味をちゃんと理解していないに違いない。


そう思ったら、なんか無性に腹が立ってきた。


「あのねぇ!!私の好きは、幼馴染としての好きと違うんですけど!?」
「あぁ、もちろん、オレも幼馴染としてじゃなく・・・」
「はぁ?あんた、彼女いるくせになに調子いいこと言ってんの!」


そう私が言うと、秀一郎はそのことなんだけど、と苦笑いを浮かべ、彼女とはさっき別れたんだ・・・と言いにくそうに話した。


「・・・は?」
「別れたというか・・・フラれたというか・・・最初から好かれていなかったらしい・・・」


なんじゃそりゃ・・・って、もしかして秀一郎・・・


気が付いたら私はまた涙を流していた。


「!!・・・なんでそこで璃音が泣くんだい!?」
「だって、秀一郎・・・知っちゃったんでしょ・・・?彼女の本性・・・」
「本性って・・・あぁ、知ってたのか・・・ははは。」


秀一郎がショックを受けたんじゃないかと思って流した私の涙を見て、秀一郎はまた苦笑いをする。


なんで笑うの・・・?
なんで怒らないの・・・?
なんで悲しまないの・・・?


怒ればいいじゃない!!
泣けばいいじゃない!!


なんで平気そうな顔をして笑ってんのよ!!


「・・・秀一郎・・・だからお前はバカだっていうんじゃ!!!」


こんな時までヘラヘラしないで怒るとか泣くとかしなよ!そう叫びながら秀一郎の頭にチョップかましてやると、彼は頭を抑え、相変わらずだな、そう言ってまた苦笑いをする。


「全く、今日は私、泣いたり怒ったり、忙しいったらありゃしない・・・」


フン!と鼻息を荒くしてそう言うと、秀一郎と目が合って、それがなんか可笑しくて、お互いにプッと吹き出す。


そのやり取りがとても心地よく、あぁ、これが2人の自然な姿なんだなって思ったらとても穏やかな気持ちになった。


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