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【テニプリ】桜の木の下で

第9章 【大石の大罪】




「璃音、それは本当かい・・・?」


慌てて振り向くと、そこには息を切らして・・・ないか、あれだけ走ったと言うのに息一つ乱していない秀一郎が、赤い顔をして立っていた。


え!?トイレから抜け出したのもうばれちゃったの?
全然時間稼ぎになってないじゃん・・・って違う、私がこんなところに寄り道したのが悪いんじゃん!


ってそれも違うよ、私、肝心なことを忘れている!
秀一郎に私の気持ち、聞かれちゃったじゃん!!!!!


私は顔がカァーーーっと赤くなるのがわかり、またそこから走って逃げだした・・・はずだったけど、今度はすぐに腕を掴まれてそれを阻まれる。


「それは本当かい・・・?」


再度秀一郎が私にそう問いかける。
この真っ赤な顔ではもう何を言っても誤魔化せるはずもない・・・。


私は覚悟を決めてキッと秀一郎を睨み付けた。


「そうよ!!悪い!?・・・私、小さい頃からずっと・・・秀一郎だけを見続けてきたんだから!!」


秀一郎が目を見開いて私を見る。
私の腕をつかむ手に力が入るのがわかる。


あぁ・・・今、なんて断ろうか一生懸命考えているんだろうなぁ・・・
彼女いる人に告白するなんて、はぁ・・・やってられないわ。
受験落ちたら秀一郎のせいだ、一生恨んでやる・・・。


その沈黙に耐え切れず、私は秀一郎から視線を外して俯くと、別にいいよ・・・と呟いた。


「え?」
「別にいいよ、秀一郎には彼女がいるのがわかってるし、わざわざ断らなくても大丈夫だから!!」


そう言って精一杯の作り笑いをする・・・


「・・・ちが、違うんだ、璃音!」
「うん、秀一郎優しいから、なんて断ったらいいか悩んじゃうよね!大丈夫、私、この通り元気だから!!全然平気だから!!」


無理に笑った目から涙が一滴零れ落ちる・・・


「・・・アレ?・・・おかしいなぁ・・・平気なのに・・・あはは、気にしないで・・・秀一郎は早く・・・彼女のところに・・・行きなよ・・・?」


一度零れ落ちた涙は次から次と溢れ出し、駄目、泣き止まなくちゃ、優しい秀一郎をますます困せる・・・そう焦れば焦るほど、私の意思に反するように涙が頬を伝って止まらない。


せめて声を出さないように、私はキュッと唇をかみしめると、肩を震わせながら必死に涙をこらえた。

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