第9章 【大石の大罪】
「本当は自分で気がつかないといけないんだけどね・・・」
「でもさ、大石、このままだと一生気がつかないかもしんないじゃん?」
「確かにそうだね・・・」
だから何に気がつけっていうんだよ!そう言うと二人はもう一度顔を見合わせて、徐に英二が口を開く。
「大石がおかしくなったのは小宮山と喧嘩してからじゃん?」
「・・・そ、そうなのか!?」
「英二、喧嘩が長引くにつれて、っていう方が正しいんじゃない・・・?」
「あ、そっか、そうそう、小宮山と会わなくなって、イライラしたりぼーっとしたり・・・それって大石、どういう意味かわかる・・・?」
・・・璃音と喧嘩が長引いて・・・苛立ったりうっかりしたり・・・それって・・・?
「大石にとって、小宮山さんがそれだけ大きな存在、ってことじゃないのかな?」
「そうそう、多分、大石が自分で思っているよりずっとね!」
・・・大きな存在・・・俺が思っているよりずっと・・・
そうなのだろうか・・・?
小さい頃から隣にいるのが当たり前で、本当に当たり前すぎて・・・
璃音の色々な顔を思い出す。
笑った顔も怒った顔も、呆れた顔も泣き顔も・・・
幼いころから今の璃音まで、思い出しきれないほど沢山の顔を思い浮かべる。
気が付くと俺に大嫌いと叫び、指輪を投げつけたあの日の璃音の泣き顔が頭から離れない。
全身が一気に熱くなる。
心臓が急に速い速度で動き出す。
それと同時に、胸のあたりが酷く痛んで苦しくなる・・・
早く璃音に会いたい、会って話がしたい・・・
でも今のままだと逃げられて話しどころか顔を見ることすら出来ない・・・
そして、気がついてしまったら・・・
もう一つケジメをつけなければならない問題がある・・・
「・・・し!大石てばっ!!」
「あ、あぁ、英二・・・」
「・・・気がついたみたいだね?本当の気持ちに・・・」
「あぁ、不二も英二もありがとう、俺、肝心なことが何も分かってなかったよ。」
そう言って、2人に何度も礼を言う。
英二が、頑張れ、相棒!と親指を立てて言い、不二が小宮山さんと仲直りできるといいね、と笑う。
背中を押してくれる大切な仲間たち
本当にありがとう―――