第9章 【大石の大罪】
次の日、いつもの時間になっても、璃音は自宅から出て来なかった。
もしかしたら本当に具合が悪いのか・・・?
そう少し不安に思い、インターフォンを押しておばさんに聞いてみると、いつもより1時間も早く出たらしい。
今朝はケロッとしていたとのことで、とりあえず具合が悪いわけではないとわかってほっとする。
登校したのなら学校に行けば会えるだろうと、俺はいつもより足早に通学路を歩く。
学校に着くと真っ先に璃音の教室に行ってみたけれど、そこに彼女の姿はなく、仕方がないから自分の教室に戻る。
次の休み時間も、その次の休み時間もそれは変わらずで・・・お昼休みに見覚えのある彼女の友達に声をかける。
「すみません、今日、小宮山さんは・・・?」
「あぁ大石くん、璃音ね・・・またトイレかな?あの子、今日は休み時間のたびにトイレにこもってるよ~、きっと腐ったものでも食べたのね!」
おばさんといい、友達といい・・・璃音のイメージってこんなんだな・・・そう思って苦笑いをする。
でもそれが彼女の裏表のない性格を表しているようで微笑ましくもあった。
それにしても・・・どうやら俺は完璧に避けられているらしい・・・
いつも言いたいことははっきり言う璃音が、どうして何も言わず避けるのか・・・?
璃音がこういう態度に出るのは初めてのことで、彼女がどういうつもりでこういう態度に出ているのか、そして自分がどうしたらいいか・・・昨日のことも併せて、わからないことが多すぎる・・・。
はー・・・俺は昨日から何度目かの深いため息をついた。