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【テニプリ】桜の木の下で

第9章 【大石の大罪】




「うっわー、中2とは思えぬ悪女~、どうせクリスマスも高級品ねだる気でしょ?」
「当然でしょ?そうじゃなかったら誰があんなつまんない男!」
「ボウリング5時間と焼き肉奉行だもんね~?」


あぁ・・・そういうこと・・・か・・・


彼女たちの不快な笑い声が耳の奥で繰り返す。
秀一郎を好きなふりをして、利用する気満々で、陰でいつもこうやって笑っているのか・・・


握った拳の震えが止まらなかった。


「それに昨日不二先輩と菊丸先輩を紹介されちゃった~!」
「えぇ!いいなあ!!私達にも紹介してよ!!」
「ダーメ!あの2人もいけそうなら美沙のものにしちゃうんだから!」
「「あはははは!」」


あの頬を染めて潤んだ瞳で可愛らしく微笑んでいた、あの天使のような笑顔はすべて計算で作られたもので、今、目の前にいるこのしたたかな笑顔が彼女の本当の笑顔なんだ・・・


応えてあげたいじゃないか!そう言って照れた秀一郎の笑顔をもう一度思い出す。


あの優しい秀一郎を・・・この女は騙している!!


その瞬間、私の中でずっと押さえていた何かが、ブチッとはちきれた・・・そんな気がした。


気が付いたら私は彼女の前に飛び出して、その胸ぐらをつかむと、


どういうつもりよ!と怒鳴っていた―――


彼女の歪んだ笑顔をにらみつける。
胸ぐらをつかむ拳に力が入る。


彼女と周りの女子たちは、やばいって顔でお互いの顔を見合わせている。


「ねぇ、やばくない・・・?聞かれちゃったみたいだよ?」
「つうか、美沙、こいつ誰?」
「あぁ・・・同級生って昨日不二先輩が言ってた。」
「え!?先輩たちの知り合い?それマジやばいじゃん!!」


「・・・小宮山さん?手、離してくれません?」


周りの動揺ぶりとは対照的に、彼女は嫌な笑顔で私を見つめて言うから、私も彼女から目をそらさずに、どういうつもりよ?と静かな声でもう一度言った。


「別に、聞いた通りですよ~?そのままです。」
「秀一郎を・・・利用しているってこと・・・?」
「ま、そういうことになりますかねぇ・・・?」
「このぬけぬけと・・・」


確かに私はすぐに手が出る暴力女で、秀一郎や英二を殴ったり蹴ったりするけれど、自慢じゃないが女に手を挙げたことはない。


でも今、この女を本気で殴りたい、そう思う自分がいた。


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