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【テニプリ】桜の木の下で

第9章 【大石の大罪】




「やぁ、市川さん、待たせちゃったかな?」
「いいえ、先輩、今来たところ・・・」


笑顔で振り向いた彼女が怪訝な顔になる。
そりゃそうだ、彼氏が一人で来るはずが、お供3人引き連れて、彼氏御一行様になって来たのだから。


「やぁやぁ、君が市川さん?俺、大石の相棒の菊丸英二!よろしくねん♪」
「はじめまして、不二周助です。こちらは同級生の小宮山璃音さん。」
「どーも、小宮山です。」


英二が自己紹介をしたのに続き、不二と私も挨拶をする。
彼女は最初はびっくりした顔をしていたけれど、すぐにかわいらしい笑顔に変わる。


ふーん、この子が天使か・・・


赤いメガネがよく似合うね。
ふんわり巻いた長い髪が可愛いね。
つやつやリップにキラキラ光る爪、ほんのり薫る甘い香り・・・


まさに女の子という感じ?


何もかも私とは正反対で、なるほど、こりゃ完敗だわ。
完敗も完敗、もう完膚なきまでにコテンパンよ。
まるで勝負になってないわ・・・


って、最初から勝負すらしていないか。


「ほらほら、挨拶も済んだし、邪魔者は退散だよ!」


そう言って、私は秀一郎におんぶ状態の英二を引き離す。
え~、もうちょっといいじゃん!と駄々をこねる英二を、いいから行くよ!と一喝し、首根っこを掴んだまま、ズルズル引きづりその場を後にする。


市川さん、まったねーと英二が大きく手を振って、不二がにこやかに会釈をする。
私は終始不愛想で、たぶん、彼女の印象最悪だったんだろうな・・・


「小宮山さん・・・大丈夫?」
「・・・何が?」


不二がそっと心配そうな顔で私の顔を覗き込む。
きっと不二は私の気持ちなんて全部お見通しなんだろうな・・・


それ以上は何も言わず、黙って一緒に歩いてくれる不二は本当にいい男だと思う。
さすが王子様だ、あの玉子様とは大違いだ。
同じ幼なじみ同士でも、こうも違うものかねぇ・・・
本気で不二の彼女がうらやましいと思った。


「それにしても大石の彼女、すげー可愛かったにゃ~!」


それとは対照的にいつまでもはしゃいでいる英二を本気で憎らしいと思った。
そんな英二に不二は開眼し、私は後ろから蹴りを入れてやった。


「なんだよ!2人ともひでー!」


うるさい、お前が空気読めないからじゃ!
このゴールデンKYペアめ。


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