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【テニプリ】桜の木の下で

第9章 【大石の大罪】




「奉行か?奉行になったのか!?このドブ『ピーーー』が!とか叫んだのか!!」
「な、何のことかよくわからないけれど・・・焼き肉、お美味しかったよ!」


美味しい、美味しくない以前の問題なのよ!
タンは表30秒、裏15秒とか、タレと塩がどうとか、こいつと焼肉に行くなんて私なら絶対ごめんだ。


本当、よくこのデートでふられなかったものだ。
よっぽど天使のような娘か、はたまた相当の物好きか・・・
私はふーっとため息をついて、横の2人に視線を移す。


「たとえば英二だったらどうする?彼女と初デート。」
「ほえ?俺?んー、そうだにゃ~、やっぱ開園から遊園地行って~、お昼は俺の手作り弁当食べて~、閉園まで名いっぱい遊んだら夕飯は駅前に新しく出来たオムレツ屋さんでふわふわオムレツかにゃ~?」


そうよ、それが健全な中学生のデートプランってもんだわ!
じゃぁ不二は?と今度は不二に話を振る。


「僕はプラネタリウムに行ったよ。沢山の美しい星々が彼女の瞳に映っていてね、とてもきれいだったよ・・・もちろん、星じゃなくて彼女が、ね・・・。それからケイジャン料理を食べて・・・あぁ、本当に楽しい時間だったよ・・・」


はいはい、ご馳走さま、ここにもいたわ、付き合いはじめて間もないやつが・・・
でもまぁ、ケイジャン料理は好き嫌いがわかれるけれど、プラネタリウムは良い選択よね。


「秀一郎、この違いわかる?あんたのプラン、ありえないでしょ?」
「うーん、そう言われてもなぁ・・・」
「そう言われても・・・じゃないわ!冗談髪型だけにしなさいよ!その前髪のアンテナは旧式か!私が伸ばしてやるからしっかり電波ひろいなさいよ!!」


そう言って、私は身を乗り出して秀一郎の前髪を両手で引っ張ると、痛いよ!璃音、それにこれはアンテナじゃないよ~だとぬかしやがる。
んなことわかっているっての!


「あのね秀一郎、自分が好きなだけじゃダメなの。特に付き合いはじめは!次は無難なとこにしなさいよ!」
「そうだなぁ・・・プールで水泳を楽しむ・・・というのはどうかな?」


この真冬に本気で言ってる?
しかも秀一郎の場合、真剣に何キロも泳ぎ続けるでしょ・・・
こいつの前髪はアンテナではなくアースらしい・・・
私はもう何も言う気にならなかった。


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