第9章 【大石の大罪】
そしてこれまた空気読めない代表のような男の秀一郎は、それこそ自分が人生の岐路に立たされている受験前にも関わらず、なぜか彼女の告白にOKしたものだから、まさにKYペアここに誕生!みたいな?
まったく、ゴールデンペアの名が泣くよ。
英二も可哀想に・・・って、それは別に関係ないケド。
でもまぁ、なんだかんだと秀一郎は学年主席だし?
テニスで全国制覇した実績もあるし?
無遅刻無欠席で内申も素晴らしいだろうし?
たとえ難関の外部受験でも内部進学の私よりは問題ないと思うのよ?
だから、いろいろ思うところはあれど、秀一郎が幸せならそれでいっかって細かいことには目をつぶり、デートの行き先の相談にのってあげた上に、惚気話くらい聞いてあげようと思ったのに・・・
それなのに・・・
「そりゃ言ったよ?秀一郎が好きなところに連れて行ってあげれば?って私、言ったよ!?」
「あぁ、だから一生懸命考えたのに・・・駄目だったかい?」
そう言って秀一郎は2人の間の机に置かれた数枚の紙を指さしたから、私はそれごと思い切り机を両手でバンッと叩き付ける。
「だからって、なんでボウリング5時間投げ放題と焼肉屋で夕食なのよ!!!」
「「えっ!?」」
英二と不二がさすがにそれは・・・という顔で顔を見合わせている。
そう、私が叩き付けたのはボウリングのスコア票。
なんゲームしたんだよ!って感じのボリュームがある。
こいつはバカか?
いや、バカではない、大バカだ。
大石秀一郎ならぬ、大うま、しか一郎だ。
「なにボウリング2人で5時間投げ放題って!いったいどういうつもりよ!」
「いやぁ、楽しい時間は長いほうがいいと思ったんだけど・・・」
「限度ってものがあるでしょ!!でもってあれでしょ!?マイグローブ持っていったんでしょ!?」
「わかるかい?今回はマイボールも持参したんだ!」
マイボールまで・・・それは引くわ!完全に引かれたわ!!
よく彼女、途中で帰らなかったものだわ・・・
「あげく夕食に焼き肉って!何よ、焼肉って!!」
「え!?ダメだったかい?焼肉・・・」
「ダメに決まってるでしょ!!!」
ずっと黙っていた英二と不二も、いくらなんでもと口をはさむ。
「そうだよ~、大石ぃ、焼き肉はまずいよ~」
「そうだね・・・流石にちょっと・・・」