第2章 【バカとテストと越前リョーマ】
* * *
数日後、私は彼を探して走っていた。
1年2組の教室、図書室、部室、テニスコート、屋上・・・
どこにもいない・・・。
まったく、こんな大事な時にいったいどこにいるのよ!
私はもう1度、1年2組に戻ると、同じくテニス部後輩の堀尾くんを発見する。
「堀尾く~~~ん!」
「あ、先輩、どうしたんっすか?テニス歴2年のこの堀尾に何か用っすか?あ、もしかして・・・愛の告白とか?いや~~~、まいっちゃうな~。」
「ねぇ、リョーマくん知らない?」
「ガクッ・・・先輩・・・無視って酷いっス・・・。」
「ゴメン、ゴメン、で、リョーマくんは?」
「・・・越前なら・・・最近は、いつも中庭で寝てるっスよ?」
「中庭ね!ありがと!」
リョーマくんを探して急いで中庭へ向かう。
中庭・・・中庭・・・あ、いた・・・!
一本の木の下でリョーマくんは寝ていた。
そっと近づいて覗き込む。
起こしちゃまずいかな?でも急いで教えたいし・・・。
それに、こんなところで寝てたら・・・風邪引いちゃう。
「・・・リョーマくん。」
「・・・ん、・・・、小宮山・・・先輩・・・?」
「風邪引くよ?」
「ん・・・」
リョーマ君が起き上がるのをまって、鞄からテスト用紙を取り出す。
「じゃじゃ~ん!!みてみて!テスト、返って来たの!なんと65点だったんだよ!先生にも褒められちゃった!グラウンド100周も乾汁も免れたし、本当、リョーマくんのおかげ!」
リョーマくん、なんて言うかな?
ま、大体想像はできるけどね。
きっと、あの憎たらしい顔で「まだまだだね」って言うんだろうな。
「へぇ~、やるじゃん。」
彼の返事は私が予想していたものとは正反対の言葉で、私はえぇ!?と思わず声を上げた。
「・・・なにビックリしてんすか?」
「いや、リョーマくんに褒められるとは思ってなかったから。」
「・・・俺、いったいどんなやつだと思われてんすか?」
どんなやつって・・・えっと・・・