第2章 【SO】月島蛍 〜マワル、ユレル、ヲモイ。〜
こうやってのんびり景色を見るのも悪くないかも。
ふとそう思って、向かいにいる彼女に目をやると、何だか落ち着かない雰囲気で、景色どころか自分のワンピースの裾を固く握って、足元を見つめていた。
え、、、、まさか、、、。
「まさかだけど、さん高所恐怖症じゃないよね?」
「!!!!!」
なにその反応。
嘘でしょ?
『ひゃっっっ!!!』
僕は立ち上がって、彼女の前に立って重心をわざと傾けると、彼女は身体をびくりと震わせて、僕の服に掴まった。
『いや、、、いやいや、、、!大丈夫だって!』
「ふぅーん。」
彼女側の壁に手をついて、ゴンドラの重心を傾ける。
『っっっっっ!、、、ちょ、ちょっと月島くん!!』
「ほら、やっぱり高い所苦手デショ。なんで観覧車なんて乗ったのさ。」
『あ、あのですね、、、なんて言うか、月島くんといるとドキドキして、緊張したというか、なんというか、、、!つい、目に留まったので、、、、、乗ってしまいました。』
「まだ半分以上あるけど、平気なの?」
僕に掴まってなんとか耐えているようだけど、茅田さんはどうやらなかなかの高所恐怖症らしい。
『だ、大丈夫だよー!それに、、、観覧車、乗りたい理由も、ちゃんと、、、あるし。』
「理由?」
『ここの観覧車の一番高い所で好きな人とキスをするとね、ずっと一緒にいられるってジンクスがあるの!』
「なにそれ。頭悪い。」
あはは、そうだよね!
そう言って彼女はしょんぼりとする。
ジンクスとか、噂とか、くだらない。その気持ちに変わりはないけれど、彼女にここまで落ち込まれると、さすがに罪悪感にかられる。
彼女の寂しそうな表情を見ると、なんだか胸がズキズキした。
隣に腰を下ろして、スカートの裾を握った手の上から、僕の手を重ねる。
「そんなに強く握ったら、服シワになるデショ。」
『つ、月島くん、、』
「手、繋いでたら少しはマシなんじゃない?」