第2章 【SO】月島蛍 〜マワル、ユレル、ヲモイ。〜
『月島くん!!凄くいい眺めだよー!あれが青葉城址かなー?駅はあっちの方?』
「ちょっと、落ち着きなよ。、、、凄くゆれてるんだケド。」
久々の部活のオフだって言うのに何をやっているんだと、自分に問いただしたい。
嵐のように僕の前に現れた彼女はまるで子供みたいに眼下に広がる景色を見てはしゃいでいた。
低気圧の影響で、空はどんよりと曇っているにもかかわらず、カラッと晴れた笑顔。
ホント、何考えてるんだか意味不明。
『だって!観覧車なんて久しぶりだし!女の子同士で遊園地来ても、なかなか乗らないもん。』
「そういうもの?」
『そういうものだよー!やっぱり男の子と乗りたいもん!』
そう言えば今日はデートだったっけ。
「いい加減落ち着いたら?」
『あ、そうだね!ごめん、ごめん。』
彼女はそう言うと、ストンと僕の隣に座った。オフショルダーのワンピースから覗く肌に目がいって、ドキリとする。
学校の制服の時とは違った雰囲気が、デートというシチュエーションを余計意識させる。
「さん。よく知らないけど、観覧車って並んで座るものなの?なんか僕等傾いてない?」
『ほ、本当だ!バランスおかしくなってるね!じゃあ向かいに座ろうかな。』
無駄にあたふたしたして、たどたどしい足取りで向かいに座る。
本当に落ち着きない人だな。
観覧車はゆっくりと回り、全体の1/3くらいの位置まで来ただろうか。
景色はどんどん遠ざかり、人も車も建物も、遠ざかって豆粒程度にしか見えなくなる。