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AO-HARU 〜HQ夢短編小説〜

第9章 6/13菅原孝支HB 〜君の見ている風景の先へ〜





夜の公園は昼間とは一変して、暗く静まり返り、電球の切れそうな街灯がポツポツと立っていて、小さな虫が灯りに誘われて飛んでいた。

烏野公園はお世辞にも大きな公園ではないけど、近所に住んでいる俺は小さい頃によくここで遊んだ記憶があった。



『菅原、ラーメン食べよ。』



木製のテーブルと長椅子が置いてある休憩スペースに俺たちは横並びに座り、カップラーメンの蓋をペリペリと剥がして割り箸を割った。ふわっと夜の風に不似合いなラーメンの匂いが香って、不思議な気分になる。



「なぁ、これがやりたかったの?は。」


『うん、、、別にこれでなくてもいいんだけど、絶対他の人がやらなそうな事がやりたかったの。』


「まぁ、、、確かにこれは特別って思うよ。なんかラーメンいつもより美味い気がするし。」


『でしょ?』



隣でズズズーっと口をとんがらせてラーメンをすする彼女は、俺が知ってるクラスの中にいる彼女とは違って見えた。どちらかと言えばおとなしくて、なんとなくクラスの友達とつるんで、「普通」がまさに当てはまるような、言ってしまえば特徴がないことが特徴のような印象。しかし今俺の隣にいる彼女も、先日の屋上の彼女も、他の誰とも比べようもない程かけ離れていて、特別な存在に見えた。



『私さ、たまにこういう誰もしないような事したくなるの。みんな同じ制服着て、つるんで恋話して、なんとなく部活してるとさ、別にこんなの自分じゃなくても出来る事だし、自分で自分の存在価値っていうの?そういうのわからなくなっちゃうんだ。』


「あぁ、、、、それ、なんとなくわかるかも。」


『やっぱり。菅原なんか最近つまらなそうな顔してたよね。』


「げ!、、、、なんだよ、俺そんな顔してた?」


『うん。なんか不満げっていうかさ、なんか煮え切らない感じっていうの?そんな感じがした。だから、連れて来たかったんだ。』


「類は友を呼ぶってやつ?」



ラーメンのスープに口をつけると、外気との温度差のせいか、喉を通って胃に流れるのがいつもよりリアルに感じるような気がした。


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