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AO-HARU 〜HQ夢短編小説〜

第8章 6/6 金田一勇太郎HB 〜夏の終わりに〜





出店が連なるお祭りの通りは人で溢れていて、普段の車が行き交う景色とは一変した歩行者天国にお囃子の音が響いて、誰もが心を躍らせていた。

すれ違うのも困難なくらい混み合って、隣を歩く彼女とたまに手が触れて、俺は雑踏の中で一人だけふわふわしているようでなんか恥ずかしくなった。



『金田一くん。』


「なに?」


『掴んでていい?』



振り返ると、俺のTシャツの裾を掴んで、彼女はそう言った。



「えっ!!あ、、い、いいけど、、、、!」


『人、多くて逸れちゃいそうだから。』


「そ、そうだね。」




” じゃあ手を繋ごう。 ”




その一言が喉元まで出かかって飲み込んだ俺は、ほんとにとんだ意気地なしだと思う。

ただ、Tシャツが摘んだ彼女の方に少し引っ張られるのが、なんとなく嬉しくて、俺は彼女と逸れないように、精一杯歩幅を合わせて歩くようにした。



「なんか買って食べる?」


『うん、私、たこ焼きがいいなー!』


「俺は、焼きとうもろこしと、焼きそばと唐揚げとかき氷!!」


『金田一くんいっぱい食べるね!!』



ふふふと口を押さえて笑う仕草。

右耳に髪をかけて、花の髪飾りをつけている横顔は口をとんがらせて、たまにお囃子を口ずさむ。ショートボブの髪が歩く度にふわふわ揺れて、俺はそれを横目で盗み見ては、今俺だけが見れるこの景色を目に焼き付けた。



『あ、金田一くん!焼きとうもろこしあったよ!!』


「ほんとだ!よし、いくぞ!、逸れないで。」



俺は勢いに任せて、彼女の小さい手を引いた。



人の群れをぬって、彼女の手を引いて出店の方に向かって、足を進める。繋いだ手がドキドキしているのを彼女に気付かれたらどうしようか。そんな事をアレコレ考えるだけで、俺は夏の暑さとは別に顔が熱くて仕方なかった。


嫌がられないって事は、手、繋いでもいいのか!?

それとも、ただ言わないだけで、内心すっげー嫌がられてたりして!!

そんなことより、俺の手汗ばんでねぇか!!!?

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