第8章 6/6 金田一勇太郎HB 〜夏の終わりに〜
国「なんか、金田一がさんと土曜日のお祭り行きたいんだって。」
国見のその一言で、俺の週末の予定が突如として決まった。
正直かなり焦って、国見何勝手に誘ってんだよ!!!
って思ったけど、彼女はただ一言、
『いいよ。』
って言って、、、。
ずっと気になってた人と、初めてデートらしき事をする事になった。
バシンッ!
金「ってぇ!!!」
国「感謝しろよなー。後で塩キャラメル奢って。」
金「、、、、、わかりました。」
国見にケツを叩かれて、一気に顔が熱くなる。しかし今回ばかりは隣でニヤニヤしているこいつに感謝するしかない。
マジで、塩キャラメル10袋分に相当する。
日が暮れた神社の石段に腰を下ろすと、昼間の日差しを吸収したそこはすこし生暖かかった。張り付く8月特有の空気に、セミの鳴き声と、少し離れた所ではお祭りの音が聞こえて、それだけで心が逸る。
はぁぁぁ、、、、、
ヤバイ、、、!!!
緊張してきた、、、
カランコロン、、カランコロン、、カランコロン、、、
「金田一くん、おまたせ。」
教室で聞きなれたその声に顔を上げると、紅い鼻緒に指を通した白い足、そして、紺色に、赤とかピンクとか白の椿の花をあしらった浴衣に、辛子色の帯を締めた彼女が照れくさそうに、俺の前に立っていた。
『ごめん。待った?』
心臓が跳ねる。
石段の両脇に連なった雪洞の紅いぼんやりとした灯りが、彼女を淡く照らして、俺は息を飲んだ。
「いやっ!!、、、全然待ってない!、、、です。」
慌てて立ち上がると、彼女は俺を見上げてその可愛い顔でニコニコ笑った。
『なんで敬語なの?』
「いや、、、べ、別に何でもないケド、、、!その、、、、、浴衣似合ってるなっっ!」