第3章 山口忠 〜呼吸を止めて。〜
山口くんに手を引かれて行ったのは、帰り道から少し外れた高台にある公園。市内の夜景がよく見えて週末はカップルで賑わうデートスポットだ。
眼下には見渡す限りの夜景が広がってて、時間が時間なだけに、人気がなくてまるで独り占めしたみたい。
二人でベンチに腰を下ろすと、秋を感じさせるような冷んやりとした風が吹いた。
『なんか寒いね?』
「ご、ごめんね!、、ちょっと待って!」
そう言うと山口くんは慌ててガサガサとスポーツバッグからジャージの上着を取り出す。
「風邪引いたら大変だから!」
そう言って私の背中に腕を回してジャージを肩にかけてくれる。
まるで抱きしめられるように腕を回されるから、一気に距離が縮んで心臓が飛び出そうになる。
どうしよう。
胸が苦しい。
私は目の前の山口くんの制服のシャツを掴んで彼の顔を見上げた。
『山口くん、、わたし、胸が苦しい。』
「え!?だ、大丈夫!?どうしよう!」
『、、、違う、よ、、、山口くんといると、ドキドキして胸が苦しいの、、、。』
好きって言いたい。
言ってもいいかな。
嫌われたりしないかな。