第9章 (サンジ、ロー、ゾロ、分岐、後編、一部18禁)
「口は少し開けてろ…そう、そのままオレの顔に近付けて」
体は勝手にその通りに動く。
「手はオレの肩にでもかけてろ。バランスが取れないなら体重はかけてもいい」
りんの両手がローのそれぞれの肩にかかった。
「もっと近づけ」
互いの鼻先が付きそうな距離だ。
「そう…そのまま」
ローはりんの唇を軽く食んだ。
(っ!)
「舌を出せ。オレのクチの動きを真似ろ」
いうとりんの口内に自身の舌を侵入させた。歯列をなぞり、遊ぶ。そのままいやらしい音をわざとらしくさせながら交わす。
(あ、なに。ぞわぞわする)
りんは息苦しく思いながらも時折背筋を走る悪寒とは違うその感覚に息をもらしてしまった。
「っ…はぁ」
「……楽しめよ。せっかくならよ」
口角を吊り上げて笑うローの目の奥に、獣じみた獰猛さを覚える。
「…、…怖い、ですよ。ローさんの顔」
「あ?なら感じなくさせてやろうか」
「…いえ、結構です」
頭に近づいてきたローの左手を叩くように払う。
ザワザワと扉の外が賑やかになった。
「キャープテー…わお。邪魔?」
「あっ!そーゆーのは船でお願いしまーす」
茶化しながら入ってきた船員たちに悪びれる様子がないロー。ヒラヒラと手を振りながら指示を出した。
「部屋ン中のも全部運べ。船で分けさせる」
「えっ!?本当に私連れて行かれるんですか?」
りんがいうとローの右側、ソファの背もたれに腕をのせてシャチといっていた男が笑う。
「船長は言い始めたら聞かないしさ、とりあえず来なってー。悪い思いはさせないから」
シャチがりんに向かって首を伸ばそうとする。
その瞬間に青い光がブゥン部屋中に広がった。
「あっとー?共有財産ではない感じ」
「…オレのだ。飽きるまでは、な」
シャチの伸ばした首の下からローが手を構えている。りんには何をしようとしていたのかはわからないが、ローの殺気だったその声から何かしら危険なことが起きようとしていた事だけわかった。
「あの、飽きるまでとは…私は連れて行かれるうえにいつか捨てられる、のですか?」
なんて勝手な話だろう。やはり海賊とはそういった輩なのか。
「さあな。お前次第だ」
くくっとローが笑う。青い光が収縮するとペンギンと帽子に書かれている男が寄ってきた。