第10章 (キッド、風邪、18禁)
りんはベッドサイドに置いてあった常温になってしまっているラム酒で水分補給をする。
「…っふぅ…」
「よこせ」
一口飲んだところで手が伸びてきたのでその手に渡す。ぐびりぐびりとキッドの喉がなった。
口を手の甲で拭う。
「………寝るか」
「ご自由にどうぞ。私はシャワー浴びに行く」
キッドの片眉が一瞬歪んだ。
「で、風邪は?」
「心配してたなら止めれば良かったのに」
りんは自分の額に手を当て、首に当て、簡易的に熱を確認する。
「…うん、運動したらダルさもなくなったし、大丈夫みたい」
「最近は襲ってくるヤツらもねぇしなぁ。鈍ってただけか」
「平和はイイコトデスヨ?」
りんは部屋着がわりにしている赤いサテンのガウンを羽織る。
「じゃあ行ってくるから」
「あとラム酒も持ってこい」
「わかりましたよお頭」
いいながらタオルを手にとり、ドアをあける。
するとドアのすぐ横で殺戮武人が腕を組んで寄りかかっていた。
「あらキラー。何かあった?」
二人の声は聞かれてただろうに、恥ずかしげもなくりんは何用かを訊ねる。
「賞金稼ぎの船が追って来てるのが見えた。あと少しで交戦になるだろうが、出るか?」
「…ですって。お頭はどうしますか」
部屋の中を振り向く。ズボンだけ履いたキッドがドアに向かってきていた。
「ギヒッ いーじゃねぇか。ヒマしてたんだしよぉ」
「お頭、出るって」
「聞こえた。行こうか」
りんは一度部屋の中にもどり自身の武器を手に取る。三人は甲板に続くドアをくぐった。
「お頭ーあ!8時の方向ーお!」
マストの見張り台から降ってきた声にキッドは甲板にでて進行方向から左後ろを振り向いた。
「少し遠いか?…よし。スピード落とせ。迎え討つぞ」
それを聞いてりんが大声を出す。
「総員位置につけ!戦闘準備!」
「「位置につけーっっ!!」」
「「戦闘準備ーっ!」」
甲板が騒がしくなる。
キッドの赤い口の端が楽しそうにつりあがった。
「さーて殺るかぁ」
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お久しぶりです。
仕事でいわゆる『責任者』をやっていたら自律神経失調症やらかしました。
今は落ち着きましたがより更新が遅くなりそうです。
趣味でやっている事なので止めたくはないのですが、…お待ち頂けると有難いです。