第8章 (サンジ、ロー、ゾロ、バー、分岐)
「えっと、ご注文は?」
りんが声をかけるとサンジが向き直り甘い声で注文した。
「君のおすすめのカクテルが飲みたいな。…あとエビかな?何か揚げた匂いがするね。美味しそうだなー、それもいい?」
「かしこまりました。そちらは?」
とりあえずヒートダウンしたので心の中で胸を撫で下ろした。
緑色の髪をした青年は店の酒棚をチラリとみやってから
「…珍しい揃えかたをしてるな。とりあえず一番強いのをロックで」
「…同じものを」
「かしこまりました」
ロングコートの男も注文をしたので酒の用意を始めた。氷をグラスに入れ、棚から取り出したビンからトクトクと濃い琥珀色の液体を注ぐ。
それを二人分作り、先に出す。カクテルはなんとなくブルー色をした辛口のシェイクを作る。
出来上がったカクテルをグラスに注ぎ、サンジの前に用意した。
「お待たせしました」
「キレイな色だね。いただきます」
サンジがカクテルを口にしたのを見てから、ナッツと頼まれたものをだす。
「先ほどのがコチラです」
「…これは?」
出された物が珍しいのか、緑色の彼が問いかけた。
「ウチの島の特産の花小エビを使ったフライですよ」
サンジが手をのばし、続いて後の二人も口にした。
サクサクとした軽い音が三人の口からする。
「…うん!美味しいね。かき揚げとは違うみたいだけど、どうやって作るの?」
「これは…」
首を傾げて聞いてくるサンジと対照的に二人は次々と手を伸ばす。作り方を説明してる間になくなりそうだ。
「やいてめーら。もっと味わって食えよ」
「おいコック。これ船で作れ」
「命令すんな!」
「…コックさんなんですか?」
ふと気になって聞くとサンジが振り向く。
「そうなんだよー。こんなムサイ緑とその他と麗しの美女が二人いる海賊船のコックなんだー」
「…こんな色情狂がコックで大丈夫なのか?」
ロングコートの彼の言葉でもう1隻の海賊船の船員なのだろうとりんは予想した。
「なんだか、仲がよろしいですね」
クスリと耐えきれずに笑うと、3人の動きが一瞬止まった。
「…?どうされました?」
その様子に違和感を覚えて問いかけるが、サンジは何もなかったように話題を代えた。
「君の名前、まだ聞いてなかったね」
「あ、りんと申します」