第6章 (アイスバーグ、パウリー、告白)
やりとりをしながら工房に入ると、裏出口のドアが静かにあいた。
「あらパウリーさん。勝手に入らないで表から来てくださいな」
「しー!表通りは見つかるだろ。昼はまだ見つかってねぇんだ」
ひとまず表の客へ菓子パンをもっていき、会計をおえてからまた工房に戻る。
「今日のパンは?」
「はい、こちらですよー」
取り置いておいたパウリーの分を手渡そうと近づくと叫ばれた。
「なっ!お前またそんなハレンチな…丸出しじゃねぇか!何か履けぇぇえ!」
「…今日のはスキニーパンツでこういうファッションですけど…」
顔を真っ赤にして怒鳴るパウリーに、静かにしろと言ったクセにと思う。
「はい、今日もツケでしょう?」
「お、おぅ」
答えながらパウリーは真っ赤な顔のまま全力で顔を横にそらし、りんを見ないようにしている。
「…もう。わかりましたよ」
りんは前掛けエプロンを外し、替えとしておいてある長いカフェエプロンをつけて足のラインを隠した。
「はいどうぞ。これでよろしいですか?」
「…あぁ、それでいい。女はカンタンに肌を見せるべきじゃない」
「…パウリーさんの彼女になる人は大変でしょうね」
半分呆れつつそういうと、パウリーはりんの目を見つめて言った。
「…大変、?」
「だって丈の短いスカート履けないし、パンツもダメだし…着るものが限られちゃう」
「…りんは、そういうのを履きたいのか?」
パウリーのただならぬ雰囲気にりんは戸惑った。
「……おれはっ賭けはやめた!あとは返すだけだ!」
「…?あ、はい」
いきなり何の話だ?とりんは思う。
パウリーはうつむき、言葉を続けた。
「…ぃ。いまはまだ無理だが、、、お前がそういう格好をしたいなら、慣れるようにする!」