第2章 2
どのくらい泣き続けたか。
声にならない声を出し続け、
言葉にならない言葉を紡ぎ続け、
私の涙はようやくひいてきた。
「アンタ、いいとこあるのに飄々としててそういうところ出さないからモテないのよ。
雅兄みたいな人ばっかりじゃないんだから、
アンタもきちんと言葉に出していいなさい」
「…うん」
ハンカチで鼻をかみながら光のありがたいお話を聞く。
ちびたタバコを灰皿に押し付け火を消すと、
光は冷蔵庫からミネラルウォーターをとりだし、ワイングラスに注いだ。
「水でも飲みなさい。
アルコールと涙でアンタの体はカラカラよ」
私はワイングラスをとり、水を一気に飲み干す。
ひんやりとした感覚が頭の奥に響いて、
少しだけスッキリとする。
「ジュンが普通の女だったら…
いますぐにでも身体で慰めてやるのにね」
光は妖しく笑いながら言った。