第2章 2
「…ところでアンタ、いつまで笑ってるふりしてるわけ?
泣きにきたんじゃないの?」
「あー…ばれた?」
「ばれるも何もないでしょ」
「やー、やっぱり、こう、つらい、ねー」
ハハ、と乾いた笑いを浮かべる。目に涙がたまるのがわかる。
やっぱり悲しい。
振り向いてもらえなかったのは悲しいし、
突然現れた高校生に一瞬ですべてを持っていかれたのはなんだか理不尽にも思う。
「いつまで強がってんのよ。ここは防音だから好きなだけ声出して泣きなさい。ジュンの泣き顔はもう飽きるくらい見たんだから」
光にそういわれ、とうとう我慢ができなくなった。
収まったはずの心の中の流血は、
ハリボテの絆創膏をあっという間に赤く染める。
顔をぐしゃぐしゃにして泣き続ける。
声が声にならない。
「やっぱり、すごく好きだったんだよ…悔しいよ…!
後にも、先に、も、雅臣、だけだって…!」
その横で光は静かにタバコを吸っている。
変に声をかける事はしない。
そっとそばにいるだけなのだ。