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【ハイキュー!!】木下久志短編集

第6章 【漫画サークル切込み隊長 その3】


真島から吐き出されるひどい嫌味、木下は震えがくる。何となくわかった気がした。サークルメンバーに取り押さえられはするがわあわあ言ってる時の真島はまだ落ち着いているのだ。相手は嫌味を言われた事はよくわからなかったようだが反撃された事自体には腹が立ったらしい。どうせオタクなんて人間の屑が集まってんだからゴミくらい気にすんなよ、彼はそう言った。それはとどめだったのかもしれない。漫画サークルの会長が真島を止めろと怒鳴る声がした。次の瞬間先輩ダメですと空き箱をぶつけられたらしきメンバーが真島の元へ駆けてくる。だが真島は既に相手に突っ込んでいって襟首をひっつかんでいた。

「私の事はいい。」

静かに言う真島の声からは温度を感じられない。

「だがうちのメンツを屑呼ばわりするのは許さん。謝れ。」

もちろん相手が謝るはずもなく真島は相手を睨みつけるままだ。先輩私はもういいですとぶつけられた本人が真島の袖を引っ張り、漫画サークルの連中も教室から出てきて真島もう十分だ後はスルーしろと声をかける。真島は相手から目を逸らさずしかし襟首をつかんでいた手は離した。

「ストップかかった、もうやめる。だが次やったらどうなるか保証出来ないからな。」

相手はマジねーわ死ねよと捨て台詞を残して去っていく。そして真島は黙っていなかった。

「そっちは死ぬより苦しい人生を送るといい。」

まるで呪(のろ)いをかけるかのような恐ろしい返しだった。
その一連の様子を木下久志は足を震わせながら見つめるしかできなかった。しばらくして少し落ち着いた真島がこちらを振り返る。

「やあ、木下。いたのか。」

笑いかけてくれたがその顔は固かった。

「醜態(しゅうたい)を晒しちゃったな、すまん。見なかった振りするかもう来ないかは好きにしてくれ。」
「え、いや」

一方的に言われて木下は何言ってんだよと言おうとしたが真島はくるっと背を向けて話は終わりと全身で語る。

「真島っ。」

教室のドアが閉められた。これ以上の面倒はごめんだと言わんばかりにサササと他のメンバーが廊下側の窓も閉める、この暑いのに。曇りガラスの向こう側の様子は全然わからない。
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